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[MOM2225]清水桜が丘MF白井海斗(3年)_先制FKに加えて決勝アシスト!一際輝いた“静岡の逸材”は選手権へ気合も十分

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前半10分、清水桜が丘高MF白井海斗主将(3年)が先制FKを決める

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.30 adidas cup Tokyo 清水桜が丘高 2-1 佐野日大高 RKUフットボールフィールド]

 鮮やかな右足FKでゴールを破り、後半終了間際に絶妙なスルーパスを通して決勝点をアシストした。一見、コントロールが難しそうな浮き球を3度4度とピタリと止めて、DFの逆を取る形でスルスルとドリブルで相手の守備網に割って入って行く。

 そして、細身な身体関係なしに球際でガツンとボールを取り切る守備や、身体を張ったボールキープがチームを盛り上げる。清水桜が丘高のMF白井海斗主将(3年)は是非、上のステージ、世界相手の公式戦でどのようなプレーをするのか見てみたい選手だ。

 1年時のインターハイ予選では、5戦8発の大活躍で清水桜が丘を全国へ導く衝撃デビュー。だが、その後は夏冬の全国大会に出場ができないまま、彼は最後の選手県予選を迎えようとしている。個人としては年代別日本代表チームからの高い評価を受けたり、SBS杯国際ユースサッカーで世界相手に活躍もしてきた。だが、チームとしての結果は不足。伝統の8番を引き継ぐエースは、選手権に出ないまま高校生活を終わる訳にはいかない。

「勝ちたいですね」「頑張るしか、無い」。これまでも、そして今後も何度も尋ねられるであろう、選手権への思いを口にした白井は「個人的なところでは点決めたり、点を取らせたり、守備でも貢献して勝ちたい」とチームの大黒柱としての活躍を誓った。

 この日は試合開始後、早い段階から「8番止めないと話にならないぞ!」という声。それほど抜きん出たプレーを見せていた白井だが、「最近、あまり練習していなかったんですけど、いつもよりも力を抜いて打つことができました」と自ら獲得したFKを難なく決め、1タッチパス、ミドルレンジからのラストパス、そしてドリブルでも違いを見せつけた。

 一方で前半から厳しいチェックを受けていた白井は、DFに身体ごと潰されるシーンも。後半も要所で光るプレーを見せていたが、痛みの蓄積もあって足が重くなったか、ボールを持ちすぎて取られたり、サイドチェンジを狙ったボールの精度を欠くなどボールロストの回数が増えてピンチも招いてしまっていた。最後は1-1の後半35分にスルーパスをMF松下祐也(3年)に通して決勝アシストを記録し、チームを勝利へ導いたが、試合後、本人は反省の弁を口にしていた。

 静岡県内の試合ではマンマークなど警戒される中で結果を求められることになる。性格的に厳しくマークされ、削られてしまうようなことがあっても、正面から立ち向かってしまうところをコーチ陣は心配もしていたが、それでも本人はどの試合でもマークを乗り越えて結果を残し、静岡県内だけでなく「(県外の試合でも)毎試合、それくらい(止めないと話にならないと)言われるくらい怖い選手になりたい」と語る。

 自分が違いを示したい部分について、白井は「自分のところでフリーの時の浮き球や、縦パスは自分がしっかり足元で止めて起点を作らないといけない。できるだけゴールに近い位置で前を向いた状態でトラップして、そこから決めきるという部分をまだ自分の長所にはなりきっていないと思いますけれど、決めきったり、パス、シュート、ゴールに絡むプレーももっと自分の武器にしていきたい」と説明。よりゴール、勝利に繋がるようなプレーをしたい考えだ。

 MF小野伸二、MF名波浩、MF藤田俊哉ら数々の名選手を育てた名将・大瀧雅良監督は「周囲のレベルが高いところに入ればもっと良さが出る。上のレベルでやらせてあげたい」と口にする。点も取る部分、アシスト、ゲームを作る部分でも違いを作り出す“静岡の逸材”は文句無しの活躍でチームを全国へ導き、さらに上のステージでの活躍に繋げることができるか。

 この「adidas cup Tokyo」開幕直前、白井は右SB味岡元輝(3年)やCB安居院旺洞(2年) 、FW渡邉唯人(3年)とともに「人生で初めて」丸刈りに。出会う人に毎回理由を聞かれるというが、連帯責任でも何でもなく、純粋に選手権へ向けて気合を入れるためだと笑う。気合もこれまでと違う注目アタッカーが最後の選手権で今度こそ、全国のピッチに立つ。

(取材・文 吉田太郎)

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