beacon

[国体少年男子]4年連続の“宿敵対決”は神奈川県が制す!コンパクトな守り貫き、FW宮城Vヘッドで大阪府撃破!

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半35分、神奈川県はFW宮城天が決勝ゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.4 国体少年男子準決勝 神奈川県 1-0 大阪府 新居浜市営サッカー場1G]

 宿敵対決は神奈川県がリベンジ! U-16年代の選手たちによって争われる第72回国民体育大会「愛顔つなぐえひめ国体」サッカー競技少年男子の部は4日、準決勝が行われた。2年ぶりの優勝を狙う神奈川県と前回大会準優勝の大阪府との一戦は、FW宮城天(川崎F U-18、1年)の決勝ゴールによって神奈川県が1-0で勝利。神奈川県は2年ぶり7回目の優勝を懸けて5日の決勝で広島県と戦う。

 4年連続での対戦となった“宿敵対決”。14年大会準々決勝は4-0で神奈川県がMF堂安律(現フローニンゲン)擁する大阪府に快勝し、15年大会準々決勝は後半アディショナルタイムの決勝点によって神奈川県が連勝した。そして、前回大会準決勝では2点を先取した大阪府が2-1で逃げ切っている。

 神奈川県はMF柴田壮介(湘南ユース、1年)が「(昨年の敗戦を経験しているSB島崎元柴田徹を筆頭に)みんな、『絶対に負けないで、絶対に勝って、決勝へ行こうぜ』と。かなり気持ち的にも上がっていました。自分たち、上手い人が多いんですけど、球際だったり、走りだったり、そういうところがあれば負けないと思っていたので、気持ちで負けないようにしていました」と説明していたが、上手さに加え、走り、気持ちの部分でもライバルを上回りに行った神奈川県が1点差で1年前のリベンジを果たした。

 攻守においてスピード感と激しさのある試合となった。前半、「神奈川の攻撃をハメきれなかったので積極性を出せなかった」(梶田浩信監督)という大阪府に対し、注目レフティー・MF山本理仁(東京Vユース、1年)を中心に後方からゆっくりとボールを動かす神奈川県はサイドで崩しのスイッチを入れると、かなり狭いスペースの中でも連続のパスを通して打開。流れるようなパスワークと個々の前へ出る力によってサイドを破り、ラストパスにまで持ち込んだ。

 加えて、神奈川県はFW宮城が切れ味鋭いドリブルによって一人でボールを運ぶなど差し込んでいく。なかなかリズムを作れなかった大阪府も前半終盤にかけて持ち直す。MF谷本駿介(C大阪U-18、2年)やMF 食野壮磨(G大阪ユース、1年)、MF 松本凪生(C大阪U-18、1年)の推進力ある動きで前に出ると、ボールもリズムよく動き出し、30分には谷本からの縦パスを受けたFW藤尾翔太(C大阪U-18、1年)が右足シュート。だが、ボールは左ポストを叩き、先制点を奪うことできない。

 その直後、35分に神奈川県が先制点を奪う。左SB岩井龍翔司(横浜FMユース、1年)の左足ミドルで獲得した右CKを山本が左足で蹴り込む。これをファーサイドでフリーになった宮城が早めの跳躍でしっかりと空中姿勢を作り、完璧なヘディングシュート。流れが悪くなりかけていた時間帯で逆にリードを奪い、前半を終えた。

 アドバンテージを持って後半に入った神奈川県は宮城のドリブルからMF石井宏育(横浜FMユース、1年)が決定機を迎えるなど追加点のチャンスを作る。前半に比べると、大阪府に仕掛けられるシーンが増えた神奈川県だが、前への強さを発揮していたCB小林夏生(横浜FMユース、1年)と空中戦で確実に跳ね返すCB 和田昂士(横浜FMユース、1年)中心にゴール前で堅い守り。また平塚次郎監督(湘南)が「昨日よりも苦しい時間にコンパクトにすることができた」と振り返ったように、プレスバックの意識も高く、大阪府にシュートまで持ち込ませない。

 1点を狙って攻め続ける大阪府は終盤、藤尾が強引に起点を作ってチャンスメーク。だが、藤尾のパスからFW川崎修平(G大阪ユース、1年)が放った右足シュートは神奈川県GK山田怜於(鎌倉高1年)がファインセーブで止める。さらにワンツーから藤尾が放った左足シュートは枠外。アディショナルタイムにもCKから谷本がフィニッシュしたが、決めきることができなかった。

 神奈川県の平塚監督が「気が利きます。(バランスが崩れかけても)チームのヘソになって苦しいところを抑えてくれる」と評する柴田壮はチームのバランスを取りながら1-0の勝利に貢献。「守備のところは全体で我慢して、最後シュートのところで寄せたり、そういうところを我慢強くできたことが良かった」と振り返った。また、山口FW和田昌士を兄に持つ和田は「大阪はいい選手がいっぱいいるというのは今までの試合を見ても、話でも入ってきていた。中盤のところで今までの試合に比べて回されることも多かったんですけど、上手くコンパクトにしてできたし、試合前からのDFラインでの話し合い通りにできたので良かったです」。

 上手いだけではなく逞しいチームを目指す神奈川県が宿敵との攻防戦でも逞しさを発揮。柴田壮は「力強いチームになってきていると思うんで、決勝も勝って優勝したいです」と語った。準々決勝で静岡県、準決勝で大阪府とV争いのライバルに堂々の勝利を収めた神奈川県が、決勝も制して2年ぶりの優勝を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●第72回国民体育大会「愛顔つなぐえひめ国体」特集

TOP