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[MOM473]大阪学院大FW斎藤寛平(4年)_阪南大を沈める一撃!!“無名の存在”から攻撃のキーマンへ

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高校時代は“無名の存在”、関西の地でチャンスをつかむ

[10.8 第95回関西学生L後期第4節 阪南大0-1大阪学院大 太陽が丘]

 藤原義三監督が狙った通りの勝利だった。「高い位置から奪いに行き、二つめ、三つめとプレスをかけていけば、阪南と言えどもミスが出る。そこで奪ってカウンターを仕掛けようというプランだった。そのためにはマイボールにした後、寛平(斎藤)のところで踏ん張ってもらう必要があった」と期待をかけた攻撃のキーマンが忠実に役割を果たした。

 大阪学院大のFW斎藤寛平(4年=向上高)はフィジカルが強く、前線のターゲットとしてボールを収めることに秀でたFWだ。この日のゴールについては「DFが僕についていたので、長谷川(覚之)に落とそうとしたんですけど、ゴールが見えたので感覚で打ったら決まりました」と殊勲の場面を振り返った。阪南大のDFふたりの寄せを交わしての得点に「日頃の練習が実った」と笑顔を見せるが、「FWなのに今季リーグでは初ゴールなので、まだこれからです」と気を引き締める。

 向上高では「ベンチに座る時間の方が長かった」という斎藤。「関東の強豪大では入部のセレクションすら受けられないけど、関西なら門戸は開いているから大院大に来た」と話す。しかし、大院大は部員数250名を超える大所帯。斎藤も一番下のカテゴリーからのスタートとなった。そんな中、前田雅文コーチ(現・関西大監督)とともに、夜遅くまで練習に励んだことが次第に成果となり、少しずつステップアップしていった。

 だが、トップチームに絡むことができるようになったことで、逆に気持ちに緩みがでてしまう。昨年は規律違反で練習への参加を禁止されたこともあり、不完全燃焼な一年となる。最上級生として迎えた今シーズンは、甘えを捨てて自らの将来も賭け、一戦一戦に全力でぶつかる。

 大院大の攻撃には欠かせぬ存在となりつつある斎藤に対し、藤原監督は「収めるのはうまいが、それだけではダメ。シュートがへたくそなので、FWとしてもっと決められるようになってくれないと」と課題も指摘する。本人も「あとはシュートの精度」と自らの弱点を把握し、日々のトレーニングを欠かさない。

 スタンドの仲間から、ひときわ大きな声援を受ける人気者が、試合を決める一撃で、チームメイトに笑顔と歓喜をもたらすことができるよう、身体を張りゴールへと突き進む。

(取材・文 蟹江恭代)
●第95回関西学生1部L特集

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