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雨中の一戦は湘南ユースに軍配!主将DF八方の殊勲弾で東京Vユースを下す

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勝利に喜ぶ湘南ベルマーレユースDF八方伶央(背番号3)ら

[10.22 Jユースカップ2回戦 湘南ユース2-0東京Vユース 馬入]

 Jユースカップは22日、2回戦2日目を各地で行い、1回戦で横浜FMユースに延長戦の末に競り勝った湘南ベルマーレユースが東京ヴェルディユースを2-0で破った。29日に行われる3回戦では柏U-18と対戦する。

 台風21号の影響で激しい風雨に見舞われた馬入サッカー場は、人工芝のいたるところに水たまりができ、ボールが止まりやすいコンディション。湘南の時崎悠監督が「ヴェルディさんはボールを動かすチームなので、僕らのゲームになるだろうと予想していた」と話したように、難しいピッチへの適応力がキーポイントとなった。

 しかし、序盤からペースを握ったのは東京Vだった。アンカーのMF山本理仁(1年)が転がりにくいピッチを避けたロングボールを何度も配給すると、1トップのMF藤本寛也(3年)が最終ライン裏へ抜け出して湘南守備陣を押し込む。前半23分、ショートコーナーからFW荒木大輔(2年)が放ったミドルなど、前半だけで4本のシュートが湘南ゴールを襲った。

 一方の湘南は前半のシュートが0本。「どんどん前に出て行くベルマーレらしいスタイル」(時崎監督)を出すことができず、東京Vの激しいプレスに苦しむ場面が目立った。1回戦で2得点を挙げたFW和田響稀(3年)も引いて受けるプレーが多く、ファウルを受けて時間をつくるという役割は果たしたものの、ゴール前に顔を出すチャンスはほとんどなかった。

 ところがハーフタイムが明けると、風上に立った湘南が押し込む場面が増え始める。後半2分、右サイドからのパスを受けたMF鳥海翔(3年)が左足で狙い、湘南にとって初のシュートを放つと、その後も前線の選手が相手のボールホルダーを追いかけ回し、良い形でロングボールを蹴らせない。

 東京Vは後半12分、2列目のMF河田稜太(3年)に代えて1トップにFW坂巻日向(1年)を起用。藤本をアンカーに下げて山本を2列目に入れるなど、技術のある選手を中盤に置くことでボールの供給源をつくろうと試みる。すると同14分、山本を起点とした攻撃から藤本が浮き球のパスを送り、坂巻がゴール前に抜け出す。シュートは相手DFに阻まれたものの、配置変更がさっそく功を奏する形となった。

 一方の湘南は後半19分、MF蒔田陸斗(3年)とMF柴野諒貴(3年)に代えてFW佐藤陸(1年)とMF高橋和希(3年)を投入。さらに攻勢を強めるメッセージを発すると、同31分に最大の決定機をつくる。和田が左CKをニアサイドに蹴り込み、競り合いで流れたボールがファーサイドへ。攻撃参加していたDF八方伶央(3年)が足を伸ばしたが、わずかに届かなかった。

 それでも後半33分、「セットプレーはチャンスだと分かっていたので、絶対に決めようと思っていた」という八方が、直後のチャンスで待望の先制点を奪う。2分前と同じ和田の左CKに対し、今度はゴール正面に飛び込み、ニアサイドからのこぼれ球を利き足とは反対の左足でプッシュした。

「これが今季初ゴールです」と満面の笑みを見せた主将の殊勲弾に沸く湘南イレブンは、一直線に応援団のもとへ走り出す。悪天候にもかかわらずホームの馬入に大勢が集まり、絶えず大きな声援を送っていた控えメンバー、サポーター、近隣各地のジュニアユースの選手たちと喜びを共有した。

 さらに湘南は後半38分、右ストッパーのDF植草宏友(3年)が前方にパスを送ると、シャドーのMF柴田壮介(1年)が右サイドを突破。相手守備陣を切り裂いて上げたクロスに途中出場の佐藤が反応し、ヘディングでゴールネットを揺らした。これでスコアは2-0となり、わずか5分間で試合を大きく動かした。

 2点を追う展開となった東京Vはその後、ロングボールを中心に攻撃を展開。ところが逆風によりコントロールが難しく、良い形で味方に届けることができない。そのまま最後までゴールを奪うことができず、PK戦で湘南に敗れて全国行きを逃した6月のクラブユース選手権関東大会(0-0、PK3-4)のリベンジを果たすことはできなかった。

 湘南はベスト8入りを果たした夏の日本クラブユース選手権に続く快進撃。「内容と結果が伴った夏を経験できたので、どこと対戦しても“自分たちの色”を出せるというのは自信を持って言える。次も自信を持ってピッチに送り出していきたい」(時崎監督)と、さらに成長した姿を3回戦で見せつける。

(取材・文 竹内達也)
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