自分たちも1試合1試合成長を…昨年度全国4強の佐野日大が今年初の栃木ファイナルへ
[10.28 選手権栃木県予選準決勝 佐野日大高 2-0 小山南高 栃木グ]
第96回全国高校サッカー選手権栃木県予選準決勝が28日に栃木県グリーンスタジアムで開催され、第1試合では昨年度全国4強の佐野日大高と小山南高が激突。佐野日大が2-0で勝ち、2連覇へ王手を懸けた。
昨年度の全国大会で初の4強入りを果たし、旋風を巻き起こした佐野日大。高まった注目度、重圧の中で迎えたこの1年は、新人戦、関東大会予選、インターハイ予選といずれも県決勝進出を果たすことができなかった。それでもゲーム主将のDF曽雌亮汰(3年)が「(海老沼秀樹監督から言われていたのは)プレッシャーというのは自分たちを期待してくれている訳だから、それに潰されるのではなくて力に変えてやること」と説明したように、桜者・佐野日大が重圧を選手権で力に変え、ファイナルに駒を進めた。
試合は立ち上がりに奪った1点によって佐野日大が優位に立った。前半7分、佐野日大は最終ラインでボールを繋ぐと、左DF安藤慶伍(3年)が上手くボールを流しながらコントロールする形で相手のプレッシャーを打開。一気に前方のスペースを駆け上がり、10番MF高橋真(3年)へ縦パスを送る。絶妙な身のこなしでDFと入れ替わった高橋が中央へラストパス。ボールが来ることを信じてファーサイドへ走り込んでいた2人のうち、「日頃から練習している形。決められて良かったです」というFW篠原博樹(3年)がゴールへ押し込んだ。
海老沼秀樹監督も「仲間を信じてファーサイドで詰めてくれたので良かった」と評したファインゴールで佐野日大がリードを奪った。対する小山南は直後に右SB入江巧の右クロスからFW加藤翼(2年)がヘディングシュート。個々の技術力の高さを活かしてボールを握った小山南は、司令塔のMF茂木祐樹(3年)とMF岸野捷貴(2年)を中心にショートパスやサイドチェンジを交えた攻撃で佐野日大を揺さぶろうとする。
だが、佐野日大の守りは堅い。コンパクトな陣形を取って相手に縦パスを入れさせなかった。曽雌が「相手がボールを支配するんですけれども、自分たちはスペースを支配して、ゴールは真ん中にあるのでそこ(の守り)を固めてやるというのがある。そこは自分たちの強みなので自信がありました」と振り返ったように、相手にボールを持たれ、例え懐に入られてもスペースを与えず、決定打を打たせない。
小山南は後半3分、右サイドから仕掛けた10番FW山井夏希(3年)が独力で守りをこじ開けてPA内から右足シュート。エースの個人技がスタンドを沸かせたが、シュートはGK平吹楽(3年)にストップされて同点に追いつくことができない。
そして、「去年の先輩見てラインのコントロールやチーム全体の気配りをすることが大切だと思っているので、自分がチームをいい方向に持っていけるようにやっています」という曽雌、DF猿橋佳永(3年)、安藤の3バックを中心に要所を抑え続けた佐野日大がしたたかに1チャンスをものする。後半12分、攻撃参加した安藤の縦パスをFW長谷川航(2年)が左サイドへはたく。そしてMF栗原彪(3年)が入れたクロスをファーサイドのMF溝口寛人(2年)が頭で叩き込んで2-0とした。
反撃する小山南は山井の左足シュートがポストをかすめるシーンもあったが、佐野日大の堅守を最後まで破ることができず。佐野日大が矢板中央高と戦う決勝戦(11月4日)進出を決めた。
今年、悔しい思いを重ねてきた佐野日大だが、トレーニングを積んできた足下での崩しやサイド攻撃で結果を残した。海老沼監督は「この子たちは結果を残せなかった。やっと4つの壁を越えることができた」と安堵の表情を見せていたが、同時に口にしていたのは「彼らはもっと伸びる」ということ。それは1年前に歴史を塗り替えた先輩たちの姿とも重なる。
曽雌は「準々決勝勝った後も一週間しっかり準備してきました。去年の先輩たちも1試合1試合全国大会とかでも強くなっているというのを自分も感じていて、1試合で変われるというのがあると思うので、そこを目指して、1試合1試合大切にしていきます」と宣言。GK大滝昌広やMF福澤力主将(ともに3年)が負傷欠場している中、誰が出ても変わらない力を身につけてきた佐野日大が決勝までの一週間でまた成長を遂げて、決勝戦も勝つ。
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017
第96回全国高校サッカー選手権栃木県予選準決勝が28日に栃木県グリーンスタジアムで開催され、第1試合では昨年度全国4強の佐野日大高と小山南高が激突。佐野日大が2-0で勝ち、2連覇へ王手を懸けた。
昨年度の全国大会で初の4強入りを果たし、旋風を巻き起こした佐野日大。高まった注目度、重圧の中で迎えたこの1年は、新人戦、関東大会予選、インターハイ予選といずれも県決勝進出を果たすことができなかった。それでもゲーム主将のDF曽雌亮汰(3年)が「(海老沼秀樹監督から言われていたのは)プレッシャーというのは自分たちを期待してくれている訳だから、それに潰されるのではなくて力に変えてやること」と説明したように、桜者・佐野日大が重圧を選手権で力に変え、ファイナルに駒を進めた。
試合は立ち上がりに奪った1点によって佐野日大が優位に立った。前半7分、佐野日大は最終ラインでボールを繋ぐと、左DF安藤慶伍(3年)が上手くボールを流しながらコントロールする形で相手のプレッシャーを打開。一気に前方のスペースを駆け上がり、10番MF高橋真(3年)へ縦パスを送る。絶妙な身のこなしでDFと入れ替わった高橋が中央へラストパス。ボールが来ることを信じてファーサイドへ走り込んでいた2人のうち、「日頃から練習している形。決められて良かったです」というFW篠原博樹(3年)がゴールへ押し込んだ。
海老沼秀樹監督も「仲間を信じてファーサイドで詰めてくれたので良かった」と評したファインゴールで佐野日大がリードを奪った。対する小山南は直後に右SB入江巧の右クロスからFW加藤翼(2年)がヘディングシュート。個々の技術力の高さを活かしてボールを握った小山南は、司令塔のMF茂木祐樹(3年)とMF岸野捷貴(2年)を中心にショートパスやサイドチェンジを交えた攻撃で佐野日大を揺さぶろうとする。
だが、佐野日大の守りは堅い。コンパクトな陣形を取って相手に縦パスを入れさせなかった。曽雌が「相手がボールを支配するんですけれども、自分たちはスペースを支配して、ゴールは真ん中にあるのでそこ(の守り)を固めてやるというのがある。そこは自分たちの強みなので自信がありました」と振り返ったように、相手にボールを持たれ、例え懐に入られてもスペースを与えず、決定打を打たせない。
小山南は後半3分、右サイドから仕掛けた10番FW山井夏希(3年)が独力で守りをこじ開けてPA内から右足シュート。エースの個人技がスタンドを沸かせたが、シュートはGK平吹楽(3年)にストップされて同点に追いつくことができない。
そして、「去年の先輩見てラインのコントロールやチーム全体の気配りをすることが大切だと思っているので、自分がチームをいい方向に持っていけるようにやっています」という曽雌、DF猿橋佳永(3年)、安藤の3バックを中心に要所を抑え続けた佐野日大がしたたかに1チャンスをものする。後半12分、攻撃参加した安藤の縦パスをFW長谷川航(2年)が左サイドへはたく。そしてMF栗原彪(3年)が入れたクロスをファーサイドのMF溝口寛人(2年)が頭で叩き込んで2-0とした。
反撃する小山南は山井の左足シュートがポストをかすめるシーンもあったが、佐野日大の堅守を最後まで破ることができず。佐野日大が矢板中央高と戦う決勝戦(11月4日)進出を決めた。
今年、悔しい思いを重ねてきた佐野日大だが、トレーニングを積んできた足下での崩しやサイド攻撃で結果を残した。海老沼監督は「この子たちは結果を残せなかった。やっと4つの壁を越えることができた」と安堵の表情を見せていたが、同時に口にしていたのは「彼らはもっと伸びる」ということ。それは1年前に歴史を塗り替えた先輩たちの姿とも重なる。
曽雌は「準々決勝勝った後も一週間しっかり準備してきました。去年の先輩たちも1試合1試合全国大会とかでも強くなっているというのを自分も感じていて、1試合で変われるというのがあると思うので、そこを目指して、1試合1試合大切にしていきます」と宣言。GK大滝昌広やMF福澤力主将(ともに3年)が負傷欠場している中、誰が出ても変わらない力を身につけてきた佐野日大が決勝までの一週間でまた成長を遂げて、決勝戦も勝つ。
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017