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佐野日大は守護神・大滝が涙の骨折離脱も…ライバルの分も戦うGK平吹が連続完封!

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佐野日大高GK平吹楽(左)は負傷離脱したライバル・GK大滝昌広の分も戦う

[10.28 選手権栃木県予選準決勝 佐野日大高 2-0 小山南高 栃木グ]

 決勝進出を決めた佐野日大高のGK平吹楽(3年)は、ライバルの分も自分がチームを勝たせる意気込みでいる。平吹は準々決勝でインターハイ予選優勝の真岡高を完封したのに続き、準決勝では後半3分にサイドを突破してきた小山南高FW山井夏希(3年)の決定的な右足シュートを横っ飛びでセーブ。相手にボールを握られる中で集中してファインセーブしたほか、得意のキックなどでも勝利に貢献した。

 佐野日大は183cm、85kgの大型守護神・大滝昌広(3年)が2回戦の後半に接触プレーで右第五中足骨骨折の重傷。大滝は「チームに迷惑をかけてしまった。怪我した日にGKコーチの須藤さんから電話をもらって、恥ずかしいんですけど泣きました」というほどショックを受け、責任を感じていた。だが、その大滝が「任せられます」と信頼する平吹が、自分の特長であるハイボールの強さやキックを武器に守護神の穴を埋めている。

 平吹は「(大滝の怪我は)驚いたんですけれども、いつもアップしてベストで出れるように準備していました。(選手権は)正直、大滝が出て、自分はサブと思ったんですけれども、常に良い準備して、出ること信じて、練習から信じて毎日やっていました」という。気持ちが落ちかけても抜かずにトレーニングしてきたことが今、結果に繋がっている。

 下級生時から登録メンバー入りし、今年、守護神を努めていた大滝を平吹はライバル視していたのだという。「自分は常にライバル意識していて、ずっとどっちが出るかという競争をしていた」。これまでチャンスを得た時に結果を出せなかった平吹は、大滝にポジションを譲る形となっていた。今回は大滝の怪我によって得たチャンスだが、迷うこと無くチームのためにプレーし続けている。

 チームを全国へ。そして胸にあるのはライバルともう一度競争したいという思い。「決勝勝てばさらに1か月間空くので大滝も復帰してくると思う。3年間、彼とはずっと切磋琢磨してやってきた。また競争して、最高の舞台で去年の全国3位を抜けるように、全国行って勝ちたい」と平吹は力を込めた。

 一方の大滝は試合前にチームメートを元気づけたり、自分ができることに取り組んでいる。平吹に対しても、試合で感じたことをアドバイス。そして「いつもどおりやれば大丈夫」と送り出している。全国大会までにどれほど回復させられるかは未知数だが、手術は受けずに準備していく構え。平吹は選手権出場を信じるライバル・大滝の思いも込めて矢板中央高との決勝戦を戦い、必ず全国切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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