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[MOM2326]清水桜が丘MF白井海斗(3年)_本人不満の内容も、優勝に大きく貢献。静岡MVPに!

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静岡県予選MVPに選出された清水桜が丘高のエースMF白井海斗

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.18 選手権静岡県予選決勝 清水桜が丘高 1-1(PK4-3)静岡学園高 エコパ]

 17年度選手権静岡県予選の大会MVPには、清水桜が丘高の注目エースMF白井海斗主将(3年)が選出された。

 決勝戦は「自分的には今日、何もしていない」という自己評価だったが、彼がいたからこその静岡制覇だっただろう。1年時のインターハイ予選5試合で8ゴールを叩き出してチームを全国へ導いたFWは、2年時から伝統のエースナンバー「8」を背負い、最終学年では主将の重責も担っている。

 ボールを持つと、対戦相手は2人がかりで止めに来る。世代屈指のゴールハンターは自分が結果を出すことへのこだわりも持っているが、周囲を信頼し、この日も自らが囮になることでチームのチャンスを生み出していた。大瀧雅良監督は「1年の時に『2、3年になったらオマエ狙われるから。8番付ける意味はそういうことだから。変わって行かなきゃ狙われるよ』という話はしました」という。自分で仕留めることにももちろんこだわりながら、同時に周囲を活かす姿勢がチームの攻撃を円滑にしていた。

 前半5分にはヒールでの1タッチラストパスで決定機を演出。相手に押し込まれる中でもチャンスを狙い続け、前方のスペースを鋭く突くドリブルやスペースへ抜け出してからのラストパスやシュートで存在感を示した。また、ハードワークを欠かさず、静岡学園のエースMF渡井理己主将(3年)がボールを持てば長い距離を走って食い下がり、タックルでその突破を阻止。勝利への執念も感じさせるプレーでチームを牽引し続けた。

 気迫のプレーを続けた影響か、延長戦では足を攣らせていた。だが、大瀧監督は「(骨折するような怪我が無い限り)代えるつもりはありません」ときっぱり。エースは最後までピッチに立ち続け、PK戦では4人目としてしっかりと決めて見せた。

 そして6人目、静岡学園の最後のキッカーのシュートが枠を外れて優勝が決まると、チームメートたちがGK眞杉雛多(3年)へ向けて走り出す中、大会の主役はうずくまって動かなかった。その目に涙はない。「嬉しすぎて」涙が出なかったというFWは疲労で走り回る体力もない中で「特別な思いを持ってやってきた」1年間やってきたことの成果、この選手権優勝の喜びを噛み締めていた。
 
 主に指揮を執る片瀬晴城コーチはこの日、白井が周囲に助けられながらも勝ったことを認め、その上で彼をマン・オブ・ザ・マッチに指名した。本人はチームが勝ったことが何よりも嬉しかった様子。一方で「何回か1対2のくらいの場面があったんですけれども、そこで打てなかったり、ああいうところで決めないと自分の良さが出せない。決められるようにしていきたい」と反省していた。全国ではより警戒される中でのプレーとなる。自分が最もチームに貢献できる部分は得点であることも理解しているだけに、決めきる力を高めることを誓っていた。

 白井は関東の強豪大学へ進学予定のため、Jクラブ内定選手に比べると知名度は劣るものの、シュートセンスと得点力の高さは間違いなく全国でもトップレベルだ。「(全国で)活躍できるように、(現時点でプロ入りできないのは)身体のこともあると思うんですけれども、夢は諦めずに追いかけ続けたいと思っています」。選手権はチームの勝利を最優先しつつ、自身の将来のプロ入りへ向けて、少しでも可能性を広げる大会にする。

(取材・文 吉田太郎)
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