beacon
TOP > NEWS > 記事詳細

『ビデオ係』から気迫の日本一…流経大DF田中龍志郎「頭を剃って、サッカーに懸けてきた」

このエントリーをはてなブックマークに追加

気迫のヘディングを見せる流通経済大DF田中龍志郎(4年=流通経済大柏高)

[12.24 全日本大学選手権決勝 流通経済大5-1法政大 浦和駒場スタジアム]

 セカンドチームの出世頭が決勝の舞台でたくましさを見せつけた。流通経済大DF田中龍志郎(4年=習志野高)は昨季までの3年間、トップチームとの関わりといえば『ビデオ係』のみ。それでも坊主頭のセンターバックは一時も努力を怠らず、大学最後の大舞台で輝きを放ち、「全国じゃなくても人生で初めて」という優勝を経験した。

 田中は3年生まで、BチームにあたるJFLの「クラブ・ドラゴンズ」で活動していた。華のAチームで与えられた役割はビデオ係。「ずっとトップチームのメンバーを撮ってきたけど、努力すれば絶対にレギュラーを取れるんだぞというところを見せたかった」。その思いは現実のものとなり、今季は関東大学リーグの試合にようやく「流通経済大」のメンバーとして出場するようになった。

「特にサッカーがうまいわけではないですけど、こうやって頭を剃って、サッカーに懸けて、努力してきた。派手なプレーをするわけじゃないけど、守備に徹して身体を張って……」。見た目から醸し出される実直さは、ゆっくりと紡ぎ出される言葉にも表れる。自らの存在価値は「4年になったらトップに上がって活躍して、そういう背中を後輩が見て、追っていてくれたらいいなと思っていた」と行動で示してきた。

 そうして迎えた最後の全日本大学選手権(インカレ)では、2回戦と決勝戦で先発。それまでの2試合をベンチで見つめた後の決勝では後半33分までピッチに立ち、「みんなと一緒にサッカーをするのも最後でしたし、応援している人の気持ちもよく分かる。そんな人の思いも背負って闘おうと思った」と気迫のプレーを見せた。

「まだ日本一って実感がわかないです。試合に出ることばかりに頭が行っていたので……」。そんな言葉は偽らざる本音だろう。主将のMF石田和希(4年=流通経済大柏高)でさえ入れない流通経済大のスタメン争い、選手同士が常に競争を繰り広げてきた結果として、この日の頂点があった。

 しかし、そんな環境に進んで身を投じてきたメンタリティーが、田中をここまで成長させたのも間違いない。「最初から試合に出られると決まったチームには来たくなかった。自分よりうまい選手がいるところに行って、良いプレーを盗んで、上に行こうと思っていた。そこで最後、こんなに大きな試合に出られて良かった」と笑顔を見せた。

 サッカー人生はまだまだ終わらない。「自分はプロ志望なので、どこかに引っかかればいいなと気持ちはあります。ただ、JFLのクラブも欲しいと言ってくれている。これからもサッカーを続けていくので、がんばっていきたい」。4年間で積み重ねてきた努力と成果、そんな自信を引っさげて次のステージに挑んでいく。

(取材・文 竹内達也)
●第66回全日本大学選手権(インカレ)特集

TOP