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[MOM2375]帝京大可児MF坂梨寿莉(3年)_発熱トラブルなんのその!値千金ゴールで予定通りHT交代

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発熱トラブルも値千金のゴールを決めたMF坂梨寿莉(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 帝京大可児高 3-0 徳島北 駒沢]

「ポゼッション」という標榜するサッカーが根付いている帝京大可児高(岐阜)にあって、今年のチームはさらに「勝ちにこだわる」要素も加えられている。それが3得点無失点というこの日の試合につながったわけだが、それでも「前半0-0だったら慌てていたかもしれない」と堀部直樹監督は振り返る。

 そんな不安を解消してみせたのがMF坂梨寿莉(3年)の先制ゴールだった。左サイドからボールを受け、ゴールするまでには冷静な頭脳も働いていた。「ファーストタッチが良くなかったんですけど持ち直して。絶対相手が足を出してくるところだったので(それも頭に入れて)ワンタッチでいきました。入ってよかったです」。

 じつは坂梨は、昨夜に発熱していたというから驚きだ。「昨日の夜の段階で37度後半あって。すぐにインフルエンザの検査をして陰性だったので、いけるところまでいこうかと。逆に試合に出ないかも、と思っていたから一発決めてくれたのかもしれません」と堀部監督は笑う。

 坂梨選手自身も「開会式のあたりから頭が痛くなって…。きっと開会式で人と接触したからかもしれません。あと、頭もよく痛くなるので。それでも薬を処方してもらって、夜もチームメイトが飲み物や食べ物を持ってきてくれて。体調はよくなったり悪くなったりしていたのですが、夜の8時半には寝て。そうしたら朝には36.3度になっていました」と振り返る。

 通常、帝京大可児の先発は試合会場に着いてから告げられるものらしいが、堀部監督はホテルに出る前に先発を伝えたという。「自分は先発できないと思っていて、それでも腐らずにやろうと思っていたので、先発と聞いて『まさか』と思いました。前半でつぶれてもいいと言われていたので、自分の力を出し切ることだけに集中しました。それでも前半15分くらいに右足の太もも裏がつりそうになって。身体も思いと感じた」。

 加えて、試合開始までは感じなかった選手権初戦の緊張も、キックオフ後に襲ってきた。決して万全の状態とは言えない。だが、それでも貴重な先制ゴールを奪えたのは、日頃の鍛錬の賜物だろう。
 
 坂梨選手は予定通り前半で交代。後半はベンチから戦況を見守った。「前半は1-0でもどうなるかわからず、相手はこれまでCKなどで得点しているのは知っていたのでヒヤヒヤしました。(後半36分に)2点目が入って、ようやく楽に見られるようになりました」とチームに感謝する。

 ちなみに、試合後の体調は「ぜんぜん楽」。「県大会も嬉しかったですけど、選手権で挙げたゴールはこれまでのサッカー人生の中で1、2位を争う」体験をした坂梨選手は、1月2日の2回戦滝川二高(兵庫)戦でさらなる飛躍を誓う。

(取材・文 伊藤亮)
●【特設】高校選手権2017

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