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待望していた選手権は試練の舞台に。“静岡のファンタジスタ”清水桜が丘FW白井は負傷、そしてPK失敗に泣く

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清水桜が丘高のFW白井海斗は怪我をおして出場。奮闘したが、悲運のエースに

[12.31 全国高校選手権1回戦 清水桜が丘高 1-1(PK3-5)高川学園高 フクアリ]

待望してきた選手権は注目エースにとって試練の舞台となった。清水桜が丘高(静岡)は“静岡のファンタジスタ”ことFW白井海斗主将(3年)が一週間前ほどの練習で左肘を脱臼する大怪我。開幕直前に練習復帰したものの、満足にプレーできる状況ではなく、この日はベンチスタートとなった。

 決して試合内容が良くない中でもチームメートたちが粘って前半を0-0で折り返すと、後半8分に白井が登場。13分には、右サイドを緩急のつけたドリブルで打開して決定的なラストパスを通した。

 DFラインからのパスを1タッチでピタリと味方の足下につけたほか、柔らかいボールタッチなど技術力を発揮。白井の登場でチームは押し込む時間帯を増やした。だが、本来の彼の出来とは程遠い内容。接触プレーを避けてか、サイドでボールを受けての浮き球パスでは脅威となりきることができず。チームも33分にFW大屋寛太(3年)が放ったヘディングシュートがクロスバーを叩くなど1点を奪うことができない。

 そして35分に失点。38分には右SB山田温人(3年)の突破からニアサイドの白井が粘ってシュートを放つ。このこぼれ球をMF松下祐也(3年)が右足で決めて同点に追いついた。だが、PK戦で4人目として登場した白井の右足シュートがGKに止められて敗戦。白井は「左手があまり使えないこともあったので自分ができることを最大限にやって、自分が得点して勝ちたかったんですけれども、仕事ができなくて残念でした。走る部分では全然問題なかったんですけれども自分の力不足を感じました」。注目エースは負傷、そしてPK失敗という不運が重なり、わずか1試合で姿を消した。

 白井の才能を認め、1年時から先発として起用してきた大瀧雅良監督は「海斗というエースが怪我をし、エースがPKを外したんだからウチとしてはベストゲームじゃないですか」
と語った。1年時からエースとして戦ってきた白井だが、過去2年の選手権は予選敗退。それでも今年、静岡県予選でMVPを獲得する活躍を見せてチームを選手権全国大会まで引き上げた。だが、「桜が丘の名前を全国に広められるような結果を残したい」「プロの人の目に引っかかるようなプレーをしていきたい」と強い思いを持って臨んだ選手権では結果を残すことができなかった。

 清水商高時代に3度の選手権日本一を経験している大瀧監督は選手権について「やってきたことの試験を受ける舞台」と説明する。その舞台で力を発揮しきれなかった白井は後輩たちへ向けて「1、2年生は悔しそうにしていた。勝って上のレベルで経験をさせてあげたかった。1、2年生がこの悔しさを糧にして、この舞台に戻ってきてくれることを期待しています」と語った。白井は強豪・順天堂大へ進学。この日、「試験を受ける舞台」で納得の行くプレーをすることができなかったFWは、この悔しさを持ち続けて成長に繋げ、次のステージで飛躍を遂げる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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