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大宮内定FW佐相が先制の昌平、広島皆実とのPK戦を制し選手権初勝利!

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4人がPKを成功させた昌平高が念願の“年越し”を達成

[12.31 全国高校選手権1回戦 昌平高1-1(PK4-3)広島皆実高 NACK]

 第96回全国高校サッカー選手権、NACK5スタジアムでは1回戦屈指の好カードである昌平高(埼玉)対広島皆実高(広島)が行われた。

「選手起用も含めて、大胆にやった」と試合後に明かした昌平の藤島崇之監督。「ディフェンス的な部分でゲームコントロールができるし、選手からの信頼度が高い」と評する吉田航(2年)をDF登録ながらボランチに起用。さらに、コンディション不良のMF山下勇希(3年)をベンチスタートにし、「前への推進力、高さ」を買ってMF伊藤雄教(2年)をトップ下で先発させた。

 立ち上がりからボールを握ったのは、地元の声援を受けて戦う昌平だった。両センターバック、DF石井優輝(3年)とDF関根浩平(2年)、ボランチから落ちてきたMF原田虹輝(2年)が最終ラインでボールを回し、サイドの隙を見つけては正確なミドルパスを散らしていく。それと同時に、何度も広島皆実守備陣と駆け引きをしていたFW佐相壱明(3年、大宮内定)の動きに合わせてボールを入れ、J内定ストライカーが巧みにボールをおさめていった。

 先制点が生まれたのは前半19分、敵陣でボールを持ったDF塩野碧斗(3年)が、ペナルティエリアへと浮き球を入れると、DFとGKの間のスペースに走り込んだ佐相が頭でピタリと合わせる。昌平が同校にとって選手権初となるゴールを挙げて、試合を動かした。「練習していたことだったので、練習の成果がここで出た」とホットラインでの得点に佐相は自信をのぞかせた。

 劣勢を強いられた広島皆実の仲本洋平監督は、早めに手を打つ。31分にセンターフォワードの森内幸佑(2年)を下げてFW若宮健人(3年)を投入。同時に3トップの配置を変えて、若宮を左ウイング、MF藤原悠汰(3年)を中央、FW岡本拓海(1年)を右に回す。すると、この交代策が功を奏する。交代から3分後、左サイドでボールを持った若宮がドリブルを開始、鋭い切り返しでDFを抜き去り、中央にボールを入れる。中で岡本がつめると混戦になり、最後はMF堤太一(2年)が押し込んで広島皆実が同点に追いつく。

 後半に入り、昌平は佐相にいいボールを供給することができなくなる。「相手が嫌な状況になる」と切り札の山下を投入すると、背番号7がチャンスをつくり出す。佐相とのワンツーで広島皆実を崩すと、ペナルティエリアすぐ外でファイルを受ける。CKでもキッカーを務めていた原田が右足で直接狙うも、ゴールポストに弾かれてしまう。37分には単身ドリブルで切り込んでシュートまで持ち込んだが、ゴールを割ることはできない。

 アディショナルタイム、昌平のミスに乗じて広島皆実がビッグチャンスを迎える。途中出場のMF田中博貴(1年)がボールを奪い右サイドを持ち上がると、ゴール中央へマイナスのパス。抜け出した堤がGK緑川光希(3年)と1対1の場面になったが、シュートは緑川に当たってゴールポストに跳ね返されると、緑川が両手でおさめる。「『やられたかな』というところをいままで何回も止めてきた」と藤島監督も賞賛するスーパーセーブでピンチをしのぐ。

 1-1のまま80分を終えて勝敗の行方はPK戦に委ねられる。最初の2人をともに成功させると、3人目で昌平の守護神・緑川がセーブ。3人が成功した広島皆実に対し、昌平は4人がゴールネットを揺らし、PK戦に勝利。昌平が選手権初勝利を飾った。

「高校時代、年越しできなかったので、すごくいい経験ができた」。FW玉田圭司(名古屋)と同学年だった習志野高では、3年次に選手権に出場したが1回戦で敗退していた指揮官にとっても、“選手権初勝利”となった。1月2日の2回戦では、昌平は神村学園高と対戦する。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)
●【特設】高校選手権2017

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