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神戸内定MF郷家と山形内定FW中村が2発競演!前回王者・青森山田が“昨年以上に”価値ある5-0快勝!

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青森山田高はMF郷家友太(右端)の2ゴールなどで5-0発進(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.2 全国高校選手権2回戦 青森山田高 5-0 草津東高 フクアリ]

 第96回全国高校サッカー選手権2回戦が2日に行われ、前年度王者の青森山田高(青森)が登場。草津東高(滋賀)と初戦を戦った青森山田はヴィッセル神戸内定MF郷家友太(3年)とモンテディオ山形内定FW中村駿太(3年)がそれぞれ2ゴールを決めるなど、5-0で快勝した。青森山田は1月3日の3回戦で長崎総合科学大附高(長崎)と戦う。

 00、01年度の国見高(長崎)以来、史上9校目となる全国連覇へ、青森山田が5発発進だ。前半、前線でボールを収める中村や郷家を中心に攻め、サイドからチャンスを作ろうとした青森山田だが、ロングボールでDFラインを押し下げようとしてくる草津東の攻撃の前になかなかリズムが作れず。中盤でボールを失い、ショートカウンターを受ける回数も少なくなかった。

 草津東は8分、MF山本佳輝(2年)のスルーパスにMF栗山高季(2年)が反応。その後も栗山が幾度も鋭いドリブルで持ち上がり、前半終了間際の37分には山本のスルーパスにMF上野広人(3年)が走り込んだ。

 青森山田は初戦の緊張もあったか、前半は攻撃のテンポが上がらず、サイド攻撃も不発。思うようなゲーム運びではなかった。だが、黒田剛監督が「サイドのポジションで優位に立って突破していきたいという目的があったんですけれども、サイドプレーヤーも硬くなって仕掛けるタイミングを失っていた。でも『いいから仕掛けろ』と檀崎に言って、その一本がいいクロスという形になった」と説明したように、流れを変えるようなサイドでの仕掛けが先制点に繋がる。

 前半37分、左サイドから縦に仕掛けたMF檀崎竜孔(2年)がDFとの1対1を制してクロス。ニアで潰れた中村の後方から飛び込んだ郷家が打点の高いヘディングシュートで決めて先制した。

 前半を1-0で折り返した青森山田は郷家も「後半は山田のサッカーができたと思います」と頷く納得の後半。パスの精度、テンポが向上したチームはゴールを連発する。8分にゴール前の混戦から郷家が左足シュートを決めると、11分には右SB鍵山慶司(3年)の縦パスから、PAで切り返した中村が強引に放った左足シュートを決めて3-0とする。

 その後も止まらない青森山田はMF堀脩大(3年)のロングシュートなどで相手ゴールを脅かすと、20分には鮮やかなパスワークから最後はターンしてPAへ侵入した中村が左足シュート。中村の左足と同時に右足を振り抜いた郷家の2人から放たれた“ツインシュート”がゴールを破り、4-0(記録は中村の得点に)。草津東も28分にスルーパスから注目の1年生FW渡邉颯太が決定的な右足シュートを放ったが、GK坪歩夢(3年)の正面を突いてしまう。

 青森山田はアディショナルタイムにもMF安藤駿(3年)のラストパスからFW額川賢哉(3年)が左足シュートを決めて5点目。守っては、3日前の開会式で選手宣誓をしたCB小山内慎一郎主将(3年)中心に草津東を無得点に抑えた。

 スコアは初優勝した昨年度の初戦(対鵬翔高)と同じ5-0。決勝戦まで学び、成長を目指して歴史を塗り替えた1年前から積み重ねた部分がある。黒田監督は「(今年も)毎日毎日学びの中でやっている。妥協なく、柔軟に、最悪の状況もイメージしながら戦えるようにコントロールしている」と語っていた。1年前の初戦は点差が開いたにもかかわらず、警告3枚を受けてその後の試合の戦い方を難しくしていたが、今年はその経験が活きて警告ゼロ。“昨年以上”のスタートを切ることができている。

 1年前、先輩たちがプレミアリーグチャンピオンとして選手権を迎えたのに対し、自分たちは選手権を前に無冠。今年の弱さを自覚し、昨年のチーム以上の水準まで守備の部分を引き上げることを求め、自分たちの世代の強みを発揮することも目指してきた。郷家が「凄く難しいと思いますけれども、目の前の一試合一試合をしっかりと勝っていけば見えてくるもの」と語る連覇へ。青森山田は今年も決勝まで日々学びながら積み重ね、一歩ずつ頂点への階段を登り続ける。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2017

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