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「気持ちの強い順に」蹴って5人全員成功、明秀日立がPK戦で大阪桐蔭下し初の8強へ

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PK戦で5人目のキッカーを務めた明秀日立DF深見凜(3年)は勝利を決めるキックに歓喜のダッシュ

[1.3 全国高校選手権3回戦 大阪桐蔭高1-1(PK3-5)明秀日立高 駒沢]

 第96回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦を行い、駒沢陸上競技場の第2試合では、ともに初の3回戦進出を果たした明秀日立高(茨城)と大阪桐蔭高(大阪)が対戦した。勝ったほうが初の8強入りとなる一戦は1-1のままPK戦に突入。PK5-3で競り勝った明秀日立が2年ぶり2回目の出場で初の準々決勝進出を決めた。

 初失点にも動じなかった。茨城県予選から7試合連続無失点中だった明秀日立だが、後半開始1分に先制点を献上。大阪桐蔭はMF大深拓海(3年)の左クロスにMF北田大亜(3年)がダイビングヘッドで合わせ、GK藤田陽輔(3年)がこぼしたボールをFW菊井悠介(3年)が右足で押し込んだ。

 初戦となった2回戦の羽黒戦(6-0)でも2ゴールを決めた菊井は2戦連発となる今大会3ゴール目。前半から試合の主導権を握っていた大阪桐蔭が先手を取った。4バックでスタートした明秀日立は後半開始から3バックに変更したが、なかなか流れを変えられず、後半10分に3人を同時交代すると、再び4バックに戻した。

「終始、主導権を握られた」(萬場努監督)という苦しい展開の中、明秀日立は少ないチャンスをモノにした。後半21分、途中出場のFW橋本光希(3年)が左サイドから右足でゴール前にアーリークロス。FW荒井慧伊大(3年)が滑り込みながら右足で捉え、1-1の同点に追いついた。

 シュート数では4本対12本。萬場監督は「そこまで手応えというのはなくて、とにかくボールを保持された」と率直に認める。それでも「最後に体を張るところと少ないチャンスを生かすというところで選手を信じてよかった」と、守備陣の体を投げ出す粘り強いディフェンスが大阪桐蔭に追加点を許さず、1-1のままPK戦に持ち込んだ。

「一切練習していない」というPK戦だったが、先攻の明秀日立は5人全員が成功。対する大阪桐蔭は3人目のMF西山翔大(2年)がゴール上に外してしまい、勝負あった。PK5-3。橋本、荒井、DF岩谷拓汰(3年)、DF高嶋修也(2年)、DF深見凜主将(3年)というキック順について萬場監督は「気持ちの強い子から順に並べて、最後はキャプテン。キャプテンが外して負けたらしょうがない」と明かした。

 最後のキッカーを任され、勝利を決めるキックを決めた深見も「必ず決めてくれるという選手たちだった」と、頼もしいチームメイトに感謝した。5日の準々決勝では同じく初の準々決勝進出を決めた上田西(長野)と対戦する。「選手にも『ベスト8に入ったら日本一を目指そう』と話していた」という萬場監督は「ここまで来たら失うものはない。頂点に行けるならできるだけ早く行きたいし、本気でチャレンジしたい」と、一気に日本一まで駆け上がる決意と覚悟を口にした。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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