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[新人戦]緊張で「一番悪いゲーム」も…神戸国際大附が県立西宮の追撃振り切り、兵庫決勝進出

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前半15分、MF新田大樹(11番)のゴールを喜ぶ神戸国際大附高イレブン

[2.3 兵庫県高校新人大会準決勝 神戸国際大附高 3-2 県立西宮高 アスパ五色]

 平成29年度兵庫県高校サッカー新人大会の準決勝が3日に行われ、神戸国際大附高県立西宮高が対戦。前半10分にFW川元駿斗(2年)が決めた先制点を皮切りに3点を奪った神戸国際大附が3-2で勝利した。神戸国際大附は4日の決勝で神戸弘陵高と対戦する。

 2013年度の選手権予選以来となる県大会決勝行きを決めた神戸国際大附だが、「一番悪いゲームがここに来て出た。こんなんで勝ったらアカンと本人らもよく分かっていると思う」と口するなど、石塚元気監督の表情は冴えなかった。

 原因となったのは、大舞台に対する緊張だ。普段、公式戦を行うのは各学校のグラウンドばかり。県大会の準決勝と決勝を行うアスパ五色のような観客席のある環境はこれまで経験したことがなく、「天然芝や、観られている環境に慣れていなくて、動きが硬かった」(FW高田淳平、2年)。それでも、昨年からこだわっているという先制点をどん欲に狙うと、前半10分には中盤でボールを奪ったMF吉田元徳(2年)のスルーパスから、ゴール前を抜け出したFW川元駿斗(2年)が決めて試合を動かした。15分にも再びチャンスを作り、右サイドからMF香川誠与(2年)がゴール前を突破。相手に阻まれたこぼれをMF新田大樹(2年)が決めて、2点差とした。

 幸先の良いスタートを切ったものの、ここからは「前半はたまたま点が獲れただけなのに、2点獲れたことで選手が勝てると思ってしまった」(石塚監督)ためにペースがダウン。「3点目が獲れれば楽な流れにできたのに、獲れずに変な流れになってしまった」(高田)。そうした隙を県立西宮は逃さず、19分にはMF松元太陽(1年)の縦パスから、FW中島快(2年)がゴール前のスペースに飛び出したが、これはGK田端勇仁(2年)がクリアした。

 同点弾を狙い、県立西宮が前がかりになった後半は、神戸国際大附が相手DF裏のスペースを効果的に使い、試合を進めた。自陣左の川元の大きな展開から、MF石本一馬(2年)がゴールを狙った後半11分の場面など、2列目の選手がゴール前に飛び出す機会が増えたが、3点目が奪えなかった。それでも無失点のまま試合を進めていたが、34分には県立西宮MF赤木恵(2年)にPKでゴールを献上。直後に高田が自ら得たPKを決めて再び2点差としたが、35+2分にもDF富坂紀円(2年)に決められ、何とか1点リードのまま試合を終えた。

 神戸国際大附は新チームが立ち上がってからは攻撃の練習は行わず、守備の練習のみを行ってきた。その成果もあり、ここまでは失点の少なさが強みだったが、この日は2失点。「組織でボールを獲れなくて、相手のミスでボールを奪っていた。これでは、次の試合や今後に繋がらないので、修正したい」(川元)、「全員が守備を頑張らないといけないのに、できなかったのが課題」(高田)と声を揃えたように、決勝で勝つためには守備の立て直しが欠かせない。
 
 一方で、「持ち味を発揮できれば、明日は勝てる」と高田が意気込むように、発展途上ながらも、勝てるだけの自信もある。「今日は気持ちが昂っていたので、明日は普通になると思う」と石塚監督が笑うように、本来の姿を取り戻し、初のタイトルを狙う。

(取材・文 森田将義)

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