beacon

「MERCURIAL MASTERCLASS」でFW玉田が“最速選手”目指すMF高木ら京都橘の選手にアドバイス「一つひとつのプレーにこだわりを」「ミスを怖れないこと」

このエントリーをはてなブックマークに追加

 3月19日、「JFA Youth & Development Programme」のオフィシャルパートナーを務めているナイキジャパンは「NIKE ACADEMY TOKYO」の特別セッションとして、“史上最速選手”を育成するためのプレミアムクリニック「NIKE ACADEMY MERCURIAL MASTERCLASS」を行った。

「NIKE ACADEMY MERCURIAL MASTERCLASS」は2月26日と2月27日に事前選考で選ばれた阪南大高(大阪、プレミアリーグWEST所属)の俊足ストライカー、FW和田育(新3年)と、名門・京都橘高(京都)の俊足サイドアタッカー・MF高木大輝(新2年)を対象に第1回と第2回のクリニックを行っている。その際、日本代表MF倉田秋(G大阪)から「ファーストタッチから仕掛ける意識を持った方がいい」などのアドバイスを受けた2人。今回は「MERCURIAL MASTERCLASS」受講者2人のうちの1人、高木が所属する京都橘のAチームの選手たちが「NIKE ACADEMY TOKYO」のスピード、ドリブルをテーマとしたトレーニングを受けた。

 スピードに乗るための重心の取り方や腕、背中の使い方などを意識したウォーミングアップから、2つのコーンの間を8の字を描きながら回るドリブルドリルによってスピードに乗る身体の姿勢を確認。約1か月前にトレーニングを受けている“経験者”高木のプレーを見ながら、各選手が意識高く、また和やかなムードの中でメニューに取り組んでいく。その後、06年W杯でブラジル代表からゴールを決めているFW玉田圭司(名古屋)を特別コーチに迎えて約1時間半、サイドの攻防からのシュートや4対4のゲームを実施した。

 玉田は左サイドから仕掛けて突破を繰り返す高木の動きを注視。一つのプレーが終わるたび、積極的にアドバイスを送っていた。高木は玉田と同じ左利きの注目ドリブラー。同じレフティーからの指導ということもあって、ボールの持ち方など高木にとって参考になる部分が多かったようだ。高木は「同じ左利きで相手へ向かってドリブルして、ボールに角度をつけて緩急で抜くというところを教えてもらって、そこは自分にないものだったからいい経験になりました」と頷いていた。

 高木は、玉田のアドバイスに対して「やってみます」と聞く耳を持って純粋にチャレンジを繰り返していた。普段から一緒にトレーニングしている京都橘のDF陣に動きを読まれて止められるシーンも。それでも、玉田のアドバイスどおりに相手の重心を動かして逆を取った際にはそのスピードでDFを振り切り、幾度も決定的なクロスへと持ち込んでいた。“史上最速選手”への新たなきっかけ。どんな相手でも突破できる選手になることを目指す高木はアドバイスをすぐに実行しながら一本一本に取り組み、少しでも進化しようとしていた。

 玉田はその高木について「やっぱり光るものはありました。1対1の仕掛けのところやボールを持った時の雰囲気を僕は感じました」と印象を語り、“玉田流”のドリブルの感覚を掴みつつある高木に「(ドリブルについては)自分自身こだわりを持ってやっているので、そういうドリブルの仕掛け方や間合いの取り方というのは自分なりにアドバイスしたつもりです。自分なりに感覚があって、それを伝えましたけれども、それはあくまで僕の感覚なので(高木が)自分なりの感覚に変えてもらえれば」と期待していた。

 玉田は主に高木を指導しながらも、メニューが変わる際には他の選手たちにアドバイス。DFを崩すために相手と並走したドリブルではなく、DFに向かっていくようなドリブルをすること、そして緩急で抜くという考えを伝えていた。それを選手たちは実践。もちろん、1日で劇的に変化が出るわけではないが、ドリブルのキレが増していた印象の高木をはじめ、各選手が貴重な経験を得てトレーニングを終えていた。

 玉田は閉会の際に京都橘の選手たちへ向けて「一つひとつのプレーにこだわりをもっと持ってほしい」「サッカーはミスのスポーツだからミスを怖れないこと。ミスしないと選手って上手くならない」「サッカーはチームプレーだから味方を信頼すること。どんどん言っていけばチームも上がっていく」とエール。この言葉は選手たちの刺激になったようだ。

 1年時から京都橘の主力で、今年のチームの主将を務めるMF篠永雄大(新3年)は「『その一つのプレーにこだわれ』と言ってくれてそれは大事かなと自分でも思いました。一つひとつのプレーにこだわると一つひとつの課題が出て来てちょっと違いが出てくる。自分はミスが多いので少なくしなければいけないけれども、ミスを怖れることなく自信をもってやれると思います。一人ひとりが今日言われたことを意識しつつ、ミスしても何回もトライするくらいの気持ちを持ってやることが、個人個人の成長に繋がると思う。トライする気持ちを持ってやっていきたい」と誓った。

 玉田は習志野高(千葉)時代、「悔しい思いしかしていないかもしれない」と振り返る。どちらかというと無名だったという高校時代。同学年には年代別日本代表や早くからAチームの公式戦に出場した注目選手がいたが、「負けたくないという気持ちが凄くあった」と必死に自分を磨き、「自分が一番だ」と言えるような武器を手にして結果を残し、Jリーガー、日本代表へと駆け上がっていった。

「だから、現状に満足せずにやることと、たくさん努力すること。あとはたくさんミスをすることが大事だと思うんですよ。『これくらいでいい』と思ったらそれくらいの選手になってしまうと思う」と玉田。「NIKE ACADEMY MERCURIAL MASTERCLASS」最終回でJクラブへの練習参加をする予定の高木が「今日言われた課題というものを今からこの春休みの間に克服して、プロの中でもできるとアピールしてプロに行けるようになりたい。相手との間合いがまだまだバラツキがあるんでもっと自分の間合いを追求していって、絶対に抜けるという自信をもってプレーしていきたい」と意気込んだ。日本一、プロ入りなど高い目標を持つ高校生プレーヤーたちはトライする気持ちを常に持ち続けて、日々努力して、目標を実現する。

(取材・文 吉田太郎)

TOP