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[MOM2501]九州国際大付高DF大川智己(3年)_高卒プロ目指す185cmCB、長崎総附の前に立ちはだかる

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高卒プロ入りを目標に掲げる九州国際大付高CB大川智己主将

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.6 高円宮杯プリンスリーグ九州第6節 九州国際大付高 1-0 長崎総合科学大附高 九州国際大G]

 対戦した長崎総合科学大附高には183cmの長身CB柏木澪弥(3年)やU-17W杯日本代表のMF鈴木冬一(3年)という注目のタレントたちがいた。対して、「自分、高卒プロを目指している。きょうの鈴木冬一とか、注目されている選手には負けてはいけないと思っている」と強い意気込みで臨んでいた九州国際大付高CB大川智己主将(3年)が、一際目立つプレーでチームの完封勝利に貢献。自身も彼らと同等の実力があることを実証するような勝利だった。

 大川は1年時に国体福岡県選抜で主将を務め、その後U-16日本代表候補にも選出された注目CB。だが、代表チームでは気後れしてしまって力を十分に発揮できず、加えて九州大会やプレミアリーグ、全国大会で活躍するCB吉村仁志(大津高)やCB西田翔央(東福岡高)、柏木に比べると、知名度が上がってきていない。それでも「(劣っている部分もあるが、)いざやってみると勝てると思います。特にヘディングは負けない自信があります」と語るCBがこの日は自慢の高さを見せつけた。

 2月に福岡のキャンプに参加した際にも手応えを掴んでいたヘッドは、雨中でも強力。ロングボールの多い長崎総科大附と空中戦で競り合うシーンが増えていたが、相手FWの完全に上方から打ち返していた。

 杉山監督が「滞空時間が長い。あと1ステップで蹴れる。(現山口の)山下(敬大)の高校時代よりも安定している。吸収力もある」と評するCBは、PAに入ってくるボールを的確に跳ね返し、注目MF鈴木に対しては得意の左足で仕事をさせないように意識しながらディフェンス。技術力の高さを見せる鈴木に決定的な一撃を撃たれるシーンもあったが、際のところで粘り強さを見せるなど最後まで得点を許さなかった。

「自分はヘディングからリズムをつくっていく。ヘディングで勝てたので自分のリズムができたかなと思っています。でも、まだまだ全然、ヘディングを前に弾くんじゃなくて繋いだり、ビルドアップの面でもっとかかわっていきたい」

 福岡のキャンプではステップワークなどが足りないことを学んだ。同部屋の先輩CB岩下敬輔に積極的に質問をし、プロの考えを吸収して成長につなげているが、まだまだ甘さのある部分を杉山監督に指摘されている。

 先月には公式戦前日に宿舎での立ち振る舞いを指摘され、ロビーで30分間の指導を受けたことも。チームの顔である主将、そして注目選手でもあるからこそ指揮官はピッチ内外で高いレベルを求める。それに対して大川は「立ち振る舞いが悪いと言われているので、自分が先頭に立って背中で見せていくことが足りていなかった」と反省。意識を変えて臨んでいるDFはこの日、リーダーとして声を発し、身体を張って背中でチームを引っ張った。

 後半12分にはFW堀金凌明(3年)が獲得したPKを「得意なので外す気はなかった」と豪快に右足で決めて決勝点。チームを背中で引っ張り、プリンスリーグ九州初勝利に攻守において貢献した。

 昨年対戦したCB生駒仁(鹿児島城西高→横浜FM)は憧れの一人。そのプレー、振る舞いも目標とする存在だ。大川は16年国体後、全国のピッチを踏むことができていないだけに、間もなくスタートするインターハイ予選に駆ける思いは特別。「勝って自信をつけていって、評価を上げていきたい。インターハイは譲れないです」。強敵を倒し、何としても全国へ。激戦区・福岡予選を勝ち抜くことが簡単ではないことは分かっているが、全国出場を勝ち取って将来の可能性を広げる。

(取材・文 吉田太郎)
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