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「京都一を取り戻す」新人戦準Vの悔しさ持つ王者・京都橘が4-0で準々決勝突破

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前半13分、CB松田佳大(左)のゴールを喜ぶ京都橘高イレブン

[5.20 総体京都府予選準々決勝 大谷高 0-4 京都橘高 佐川亀岡G]

 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)京都府予選は20日、準々決勝を行った。昨夏のインターハイ全国8強で、京都予選3連覇を狙う京都橘高は大谷高と対戦。4-0で勝ち、準決勝進出を決めた。京都橘は26日の準決勝で莵道高と戦う。

「京都大会優勝は過程としている。絶対全国大会で優勝することを目標にしてやっているのでしっかり新人戦の悔しさも晴らしながらやっていきたい」。先制ヘッドを決めたCB松田佳大(3年)がそう口にしていたが、新人戦準優勝からV奪還と日本一を掲げる京都橘が堂々の内容で準々決勝を突破した。

 フィジカル面の強さを発揮していたDF奥田颯太(3年)やDF廣本拓馬(3年)を中心とした5バックを敷いて守りを固める大谷に対し、京都橘は根気強く攻め続けて4得点。前半12分にMF山田剛綺(3年)のキャノンショットで得た左CKを注目の左SB高木大輝(2年)が蹴り込むと、ファーサイドでマークを外した松田が先制ヘッドを決めた。その後は非常に良くボールに絡んでいたMF篠永雄大主将(3年)やMF稲田千寛(3年)を中心に幅を使いながら攻め続ける。

 そして左の突破口、高木が再三ドリブルで仕掛けてラストパス。キープ力高い山田や前線で動き回るFW佐藤陽太(2年)、FW関野竜平(3年)の良さも活かして攻め続けた。ただし、22分に縦へ抜け出したMF今田温稀(3年)の右足シュートや関野と右SB松本永遠(2年)とのコンビネーションで右サイドを打開した27分のシーンも含め、ゴール前の堅く、GK小傳良陽太(3年)が好守を見せる大谷からなかなか2点目を奪うことができない。

 逆に大谷は単独突破を試みるMF山下翔大(3年)や前線でボールを収めるMF田村健太(3年)、FW定光郁斗(3年)が手数を掛けず攻め返してゴール前のシーンも作り返していた。だが、ボールを支配して攻める京都橘は相手にその機会をほとんど与えない。後半、高い位置でボールを奪いに行った大谷に対し、焦れずに攻め続けた京都橘が連続ゴールを奪う。

 15分、松田の縦パスを前線で収めた山田が、自ら持ち込む素振りを見せてから右後方の篠永へパス。これに走り込んだ篠永がニアサイドへ右足シュートを決めて2-0とした。さらに稲田の右足ミドルなどでゴールを目指す京都橘は19分にも高木の右FKから加点。松本とCB竹内颯太(3年)がゴール前に飛び込み、最後はGKが弾いたボールを竹内がゴールへ押し込んだ。

 そして21分には味方選手からの「狙え」のアドバイス通りに右CKから左足で直接ゴールを狙った高木が決めて4点目。終盤は交代出場の選手もチームを活気づけていた京都橘が4-0で勝利した。

 京都橘の米澤一成監督は「ボール回しで攻め疲れて、(相手の)カウンターが効果的になってもいけない。ケアのことをずっと言っていた」と振り返っていたが、選手たちは高い守備意識を持ちながらプレーし続けた。カウンターを受けたシーンもあったが、切り替え速くゴールを守り、大谷MF河合充(3年)のシュートを1年生GK郷田凪砂が好セーブで逃れるなど無失点。一方、米澤監督は攻撃面について距離感の部分や相手のプレッシャーの切り方の部分を指摘し、選手たちもよりアイディアある崩し、精度の向上をしなければならないと反省していたものの、それでも自分たちで試行錯誤しながら攻め続け、セットプレーの強みを発揮した。

 現在、京都橘はインターハイ予選2連覇中で選手権予選は6連覇中。ライバルたちからターゲットとされる立場となっているが、新人戦敗戦の悔しさがあるだけに王者・橘は勝利に飢えている。篠永は「京都一を取り戻す。僕たちの目標はそれから。(京都を突破しても)全国で負けたら意味がない。まずは目の前の試合に全力で取り組んでいきたい」。高い目標を達成するため、今は目の前の練習、試合に全力。必ず京都のタイトルを奪い返して日本一に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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