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稲見ツインズが決勝点もたらす!プリンス北信越首位の新潟明訓が選手権8強の日本文理撃破:新潟

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前半35分、新潟明訓高はFW稲見和也が決勝ゴール

[6.2 総体新潟県予選準決勝 新潟明訓高 1-0 日本文理高 五十公野公園陸上競技場]

 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)への出場権を懸けた新潟県予選は2日、準決勝を行った。今年のプリンスリーグ北信越で6勝1分と無敗で首位を快走する新潟明訓高と、初出場した17年度選手権で8強入りの快進撃をしてのけた日本文理高との一戦はFW稲見和也(3年)の決勝点によって新潟明訓が1-0で勝利。3年ぶりの全国大会出場へ王手を懸けた新潟明訓は3日の決勝で帝京長岡高と戦う。

 新潟明訓の先発は180cm台の選手3人を含め、175cm以上の選手が計7人。全国に出て行っても強みになりそうな恵まれた体格が大きな武器となっている。加えて、距離と精度にこだわって投じるFW稲見直也(3年)のロングスローが対戦相手の驚異に。田中健二監督は「パワーがあるのでジャブを食らわせることができる」というチームはこの日、ポストや相手の好守に阻まれて2点目を奪うことこそできなかったものの、我慢強さも発揮して決勝進出を果たした。

 前半、新潟明訓はロングボール、ロングスローを軸に置きながら、サイドの局面をパス交換で打開する巧さも見せる。そしてカウンターからMF高橋一誠(2年)がシュートを放ち、ロングスローから185cmCB落合毅人(3年)がヘディングシュートを浴びせるなど多彩な攻撃で相手の守りをこじ開けにいった。

 一方、日本文理は駒沢隆一監督が「(パワフルな新潟明訓に対し、)前半はゼロで抑えた中で、後半にボールを動かせる選手を入れることを考えていた」と振り返ったように、ロングスローを連発し、セカンドボールを回収してくる相手の攻撃を凌いで後半勝負。J注目の192cmGK相澤ピーター・コアミ(3年)を中心とした守りで無失点のまま試合を進める。

 だが、前半終了間際の35分、新潟明訓が先制点を奪う。左サイドからの速攻でスペースへと抜け出した稲見直が、相手DFを抜き切る前に左足でクロスを入れる。目の前のDFに当たり、コースがやや変わったものの、ニアサイドへ走り込んだ稲見和が技ありのヘディングシュート。GK相澤の逆を突く形でボールはゴールネットに吸い込まれた。

 179cmの弟・直也と168cmの兄・和也の稲見ツインズのホットラインが開通して貴重な先制点。プランが崩れた日本文理に対し、新潟明訓は後半8分にも右CKからCB斎藤優貴(3年)が決定的な右足シュートを放ち、25分には稲見直の左ロングスローからビッグチャンスを迎える。

 ポストに救われる幸運もあって1点差のまま食らいつた日本文理は終盤へ向けて攻勢をかける。後半20分にはMF古俣眞斗(2年)が右ポスト直撃の右足FK。27分には敵陣でボールを奪うと、後半に存在感を増していた10番MF高橋雄大(3年)のスルーパスからFW齋藤山斗(2年)が決定的な左足シュートを放った。

 終盤へ向けて攻防が激しさを増す中、新潟明訓は28分、カウンターから稲見和のラストパスでFW石塚琉太朗(3年)がGKと1対1に。だが、シュートはGK相澤に止められ、こぼれ球に反応した稲見和のシュートも懸命に戻ったCB大滝史渡(3年)ら日本文理DF陣に阻まれてしまう。

 日本文理はMF松岡純弥(3年)の空中戦の強さや高橋の個人技、MF本間未来斗主将(3年)の左足シュートなどを活かし、1点をもぎ取りに行く。だが、左SB小澤将秀主将(3年)が「みんなで声掛けながら守ったり、攻めたりできた。ベンチのメンバーも含めて全員でやれたと思います」という新潟明訓は終盤にピンチを迎えながらも全員で凌ぎ切って1-0で勝利。強豪対決を突破した。

 進学校でもある新潟明訓は練習時間が限られているが、その中で勉強する時間を確保しながら、サッカーと学業との両立を実行中。田中監督は「妥協は勉強でもさせない。(自分で日常生活を)マネジメントできるような人間ができれば」と期待する。日常をセルフコントロールできるようになれば、サッカーでもより状況を考えながら試合を進めることができるはず。小澤は「(日常から)頭を使うとかサッカーも似ている。TPO(場所、時間、場合)をわきまえながら、やるべきことを考えながらやっています」と活かせている部分について語っていた。この日は相手の一瞬の隙を突く形で先制し、耐える時間も集中。日常で身につけている部分も発揮して勝利した。

 田中監督が「3年生が逞しくなってくれている」と評価する世代。先発に中体連出身の選手も4人食い込んでいる新潟明訓が「チーム一丸となって、明訓に携わってくれている方々やOBの思いを背負いながらみんなで優勝を目指します」(小澤)という思いもぶつけて決勝を戦い、全国切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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