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[MOM536]関西学院大MF山本悠樹(3年)_海外留学の出遅れも挽回、相手にとって“怖い存在”へ

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関西学院大MF山本悠樹(3年=草津東高)

[6.16 第96回関西学生L前期第11節 桃山学院大0-2関西学院大 J-GREEN堺メインフィールド]

 首位の大阪体育大が頭ひとつ抜け出した感のある関西学生サッカーリーグ。しかし、2位以下は混戦となっており、結果次第で大きく順位が変動する。上位同士の対戦となった前期最終節・桃山学院大vs関西学院大、勝負を決めたのは関学大MF山本悠樹(3年=草津東高)のプレーだった。

 桃山大の激しいプレスに押し込まれた前半、ショートコーナーから山本がゴール前へと入れたボールは「狙ってはいたが、ニアの降旗(光星・2年=暁星国際高)に合わせようとしたら、入ってしまった」と本人にとっても意外な形で先制点となる。さらに、後半には右サイドのMF中野克哉(4年=京都橘高)からボールを受けると、巧みなコントロールで寄せてくる相手を交わし、オーバーラップしてきたDF高尾瑠(4年=名古屋U18)にパス。勝利を決定づける追加点へとつなげ、チームは順位を2位に押し上げた。

 高校時代から確かな技術と優れた戦術眼で、関西ではその名を知られた選手だった。Jリーグクラブに練習参加もしたが、進路に選んだのは関学大。大学でもルーキーイヤーから頭角を現す。しかし、2年目は7得点10アシストと個人の結果は残したが、チームはリーグで6位に沈み、悔しさを味わった。

 今年は将来のためにも勝負の年と位置付けていたが、学生ならではの事情が思わぬ壁となった。山本の在籍する国際学部は「海外留学」が卒業の必須条件。公式戦への影響を考えると、行けるのはシーズン前の冬しかなかった。デンソーカップチャレンジサッカー全日本大学選抜の打診もあったが、「本番は今年じゃない。パフォーマンスを見てもらって、ユニバーシアードに呼んでもらえるようにリーグで頑張ろう」とイギリスへの短期留学に旅立った。「でも、イギリスにいてもSNSで様子はわかる。(岩本)和希(3年=G大阪ユース)が関西選抜に選ばれてうらやましかったし、焦りもあった」と振り返るように、帰国後はその焦りから開幕直前にケガを招くことになってしまい、出遅れた。

 それでも5月半ばに復帰すると、「外から見ていてボールが落ち着かず、動かないところがあった。広くフィールドを使うことは相手も嫌だし、両サイドが勝負できるように、積極的に関わろう」と感じていたチームの課題を解消すべく取り組んだ。高橋宏次郎ヘッドコーチは「誰が出ても攻撃はしっかりやっていたので基本姿勢は変わらない。だけど、山本が入ることでタメができ、よりサイドや周囲のスペースを使えて、攻撃の幅が広がった」と存在の大きさを口にするが、「パスを出したらもう一度スプリントをかけていく迫力や、クロスボールの際どい位置にヘッドを狙って走りこむとか、左でも打つといったあのポジションで勝負する姿勢をもっと増やしてほしい。ペナルティ付近にフリーで入ってきたら、怖い選手になってほしい。普通の『上手い選手』ではなく怖い存在になってほしい」とさらに高いレベルを要求する。

 同学年には筑波大MF三笘薫(3年=川崎F U-18)や順天堂大FW旗手怜央(3年=静岡学園高)といった年代別代表に招集される選手もいる。「自分の先を行かれているので、追いつかなくてはいけないし、食らいついて行きたい。そのためには結果を残せる選手、結果につながるプレーが出来る選手になりたい」と山本自身も意欲を隠さない。「タイトルを取りたい。去年よりも、一歩超えていきたい」という目標を達成するために、冷静にそして貪欲に勝負を挑む。

(取材・文 蟹江恭代)
●第96回関西学生リーグ特集

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