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「形がないのが強み」の名古屋U-18、横浜FMとの“直接対決”制して決勝トーナメントへ

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決勝PKを決めた名古屋グランパスU-18のDF萩野滉大主将(3年、写真右)

[7.23 日本クラブユース選手権U-18大会GL第3節 名古屋U-18 1-0 横浜FMユース 宮城総合]

 第42回日本クラブユース選手権サッカー選手権(U-18)大会は3日目の25日、グループリーグ第3節を各地で開催した。宮城総合陸上競技場の第1試合では名古屋グランパスU-18横浜F・マリノスユースが対戦。1-0で競り勝った名古屋がA組2位での決勝トーナメント進出を決めた。

 グループリーグ突破のためには名古屋は引き分け以上、横浜FMは勝利が必要だった一戦。「相手は勝たなければならない中で、立ち上がりはパワーある選手たちに押されてしまった」(名古屋・古賀聡監督)との言葉どおり、序盤はMF椿直起(3年)、MF棚橋尭士(3年)らを擁する横浜FMが一気に押し込みにかかった。

 だが、名古屋も徐々に盛り返し、前半9分には右サイドを突破したDF石田凌太郎(2年)のクロスにFW兵藤健斗(3年)がダイレクトシュート。同14分にはセットプレー崩れからDF井上亮雅(3年)の左足キックがゴール前を襲い、ファーサイドで石田がヘッドで狙った。だが、いずれも枠を捉えることはできなかった。

 高温多湿の中で行われた一戦は35分ハーフの途中にクーリング・ブレイクを実施。すると前半25分、横浜FMをアクシデントが襲う。MF岩澤桐人(3年)の右CKに反応したDF五十嵐大悟(3年)が名古屋DF井上詩音(3年)との競り合いで腰を強打。途中退場を強いられ、「あれでゲームコントロールが難しくなった」(西谷冬樹監督)というターニングポイントとなった。

 それでも前半アディショナルタイム、横浜FMはDF鈴木駿之助(3年)のロングフィードに抜け出した椿が左サイドをえぐり、マイナス方向に折り返す。ニアに棚橋が走り込んでおり、絶好のチャンスかと思われたが、たびたび対人戦でファインプレーをみせていたDF牛澤健(2年)がかろうじて軌道を変えた。

 後半は横浜FMがクロス攻勢をしかけ、名古屋がロングスローなどのセットプレーでゴールに近付く展開。そんな16分、右サイドからのFKに反応したDF萩野滉大(3年)がPA内で倒され、名古屋にPKが与えられる。キッカーは萩野。18分、ゴール右上にしっかり蹴り込み、貴重な先制点を奪った。

 2点が必要となってしまった横浜FMは後半24分、トップ下気味のポジションを取っていたFW栗原秀輔(3年)に代わってMF石井宏育(2年)を投入。的確なボールタッチのテクニシャンが入ったことで、すぐさま攻撃が活性化された。同27分には、石井のパスから同じく途中出場のMF土佐陸翼(3年)がミドルシュートを狙った。

 名古屋はフレッシュな選手を前線に入れ、横浜FMの攻撃を寸断しにかかるが、終盤は完全にペースを握られてしまう。だが、後半34分の棚橋のミドルは守備陣に当たってGK長江裕真(3年)が処理し、同アディショナルタイムの猛攻でも決定力が足りず。横浜FMは1勝2敗の勝ち点3に終わり、無念のグループリーグ敗退が決まった。

 西谷監督は試合後、「アクシデントがあった後は相手に付き合うサッカーをしてしまい、つないで前に進むことができなかった」と敗因を指摘。大会を通じては「高温、35分ゲームでは勢いに乗ったチームが強い。初戦は猛暑の中でのんびり試合に入ってしまい、頭と身体がついていかなかった」と悔やんだ。

 シーズン前半のビッグタイトルである夏のクラブユース選手権を終え、ここからはプリンスリーグ関東の再開戦、そして冬のJユースカップに向かってチームをレベルアップすることになる。「もう一度仕切り直して、もっと自分たちのスタイルで戦って勝ちたい」と意気込みを口にしていた。

 一方、名古屋の古賀監督は「守備陣が粘り強く対処しながら、前半と後半にいくつかチャンスをつくれた」とこの一戦を評価。「相手の逆を突いていくため、自分たちの強みは“形がない”こと」というチームにあって、縦パスを生かした中央突破、サイドからのクロス攻撃など攻めの多彩さが目立ったが、「まだまだ精度が足りない」とクオリティーの向上を求めた。

 とはいえ、決勝トーナメント進出を果たしたことで、次につながる舞台をつくった。「自分たちはグランパスの歴史を変えるというのを目指していて、これまでの最高順位はベスト4。力のある選手がそろっているので、頂点に行くことを誓ってやっていきたい」と一発勝負に目線を向けた。26日の1回戦では、ジュビロ磐田U-18と対戦する。

(取材・文 竹内達也)
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