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J1内定3選手擁す東海学園大が「想定外」3点差ひっくり返し辛くも初戦突破

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東海学園大はFW神門滉人(3年=アミーゴス鹿児島U-18)の2ゴールなどで3点差を追いつき、延長戦の末に勝利した

[8.31 第42回総理大臣杯1回戦 北海道教育大岩見沢校 3-4 東海学園大 万博記念競技場]

 夏の大学日本一を決める第42回総理大臣杯が31日に開幕。万博陸上競技場で行われた北海道教育大岩見沢校(北海道)と東海学園大(東海2)の一戦は、延長戦の末に東海学園が4-3で勝利した。

 J1名古屋グランパスへの加入が発表されているFW榎本大輝(4年=中央学院高)、MF児玉駿斗(2年=中央学院高)らアタッカー陣に加え、守備にもJ1V・ファーレン長崎内定のDF鹿山拓真(4年=長崎南山高)ら実力者を擁する東海学園が苦しみながら、初戦を突破した。

 立ち上がりと共に中央に絞るDF神谷凱士(3年=東海学園高)を中心にテンポ良くボールを動かした東海学園大だったが、安原成泰監督が「ちょこまかボールを動かせたことで、いつでも点が獲れるだろうという雰囲気になっていた。いつものやられるパターン」と振り返るようにパスは繋がるもののフィニッシュまで持ち込めない。「決める所で決めていればスムーズに試合運びができたと思う」。そう振り返るのは神谷凱で、前半8分にFW神門滉人(3年=アミーゴス鹿児島U-18)が迎えた決定機もGKの正面に終わった。

 流れを活かせないまま時計の針が進むと、次第にMF鈴木翔(4年)とMF下田友也(2年)の札幌U-18コンビにサイドから押し返される場面が増えた。前半26分には右CKをDF泉山凌馬(2年=盛岡商業高)が競ったこぼれ球をMF小川達也(3年=履正社高)に押し込まれると、直後の27分にはサイドを仕掛けた下田に追加点を献上。34分にも下田のタメから鈴木翔に角度のない位置からシュートを決められ、3点差まで引き離された。

「想定外」(榎本大)の展開で時間が進んだ東海学園は、前半終了間際に神谷凱が直接FKを決めて一点を返すと、後半からは組み立てのポイントになっていた神谷凱をボランチに移動し、4-4-2にシステムを変更。「しっかり真ん中でゲームを作って、サイドに長いボールを入れようというプランに変えた」(安原監督)ことがハマり、神谷凱の縦パスをスイッチに榎本や児玉が相手エリアを積極的に仕掛けたが、DF深井祐希(4年=北海道大谷室蘭高)を中心とした岩教大の粘り強い守りに苦しんだ。

 頼みの綱であった榎本大も足首を痛め、34分にピッチから退くなど終盤まで苦しい状況は続いたが、「榎本大がずっと押し込んでくれていたので、相手のDFラインの足が止まってきた」(安原監督)と終盤になり、攻め続けた結果がジャブとなって効き始める。そうした状況で榎本大に代わって送り出されたのが、実弟のMF榎本啓吾(1年=千葉U-18)だ。ピッチに入るなり緩急をつけた突破で見せ場を作り、41分には鋭いドリブルでPKを獲得すると、神門が豪快に決めて1点差に詰め寄った。45+1分にもスピードに乗った仕掛けで左サイドをえぐると、ゴール前に送ったボールをニアの神門が合わせて、延長戦に持ち込んだ。

 延長戦でも東海学園の勢いは止まらず、延長前半4分には神谷凱のロングパスがゴール前にと通ると、FW西澤利樹(3年=伊賀白鳳高)が頭で合わせて逆転に成功。終了間際にはゲリラ豪雨のため、試合が約1時間中断するアクシデントもあったが、リードを保ったままタイムアップを迎えた。

 勝った東海学園は名古屋内定選手で10番を背負うMF渡邉柊斗(3年=東海学園高)が左足の前十字靭帯を断裂し、今大会は復帰できない。指揮官は「渡邉がいればどこからでも仕掛けられて、もっと面白いサッカーができる」と話すが、神谷凱が「全員がボールを扱える選手ばかり。今年はベスト4を狙えるメンバーが揃っている」と胸を張るように現有戦力でも力は十分。榎本大は「一戦一戦しっかり勝つことが大事だけど、出るからには優勝まで行きたい」と意気込んだ。

(取材・文 森田将義)
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