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元代表FW森山監督率いる浦和学院が浦和東振り切る。12日抽選会の選手権予選へ弾み

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後半9分、MF高橋航大(10番)の先制ゴールを喜ぶ浦和学院高イレブン

[9.8 埼玉県1部L第14節 浦和東高 1-2 浦和学院高 埼玉第4G]

 高円宮杯 JFA U-18 サッカーリーグ 2018 埼玉S1リーグ(埼玉県1部リーグ)第14節が8日に行われ、6位・浦和東高と8位・浦和学院高との一戦は浦和学院が2-1で競り勝った。

 全国高校選手権埼玉県予選は12日に2次予選の組み合わせ抽選会。その直前に開催された、公立の実力派・浦和東と元日本代表FW森山泰行監督の下で力をつけてきた浦和学院との強豪対決は浦和学院が制した。

 浦和学院は昨年からレギュラーのFW岡部和希(3年)や俊足FW栗城来夢(3年)が怪我や累積警告のために不在。一方の浦和東は守備の柱であるCB上原龍(3年)を怪我で欠いたのに加え、チームに推進力を加えていたFW前田祥玲(3年)が開始10分でコンディション不良のために途中交代となり、苦しい戦いとなった。

 その中、前線でボールを収めるFW小川翼(3年)を中心に攻めた浦和東は、MF石塚陸斗(3年)やMF志村直樹(3年)を活用してサイドでの崩しも見せる。だが、浦和学院主将のMF内舘和輝(3年)が「後期の1、2節でプレスバックとか全員での守備ができていなかったので、最近はそこでしっかりプレスバックしたり、前に出たら上がれとかチームとして取り組んでいた」と語り、MF本田彪(2年)も「チームとしてハードワークは言われていたので走り切ることを意識していました」いうように、後期リーグ戦での大量失点から守備意識が変わってきたという浦和学院は前線から運動量、連動性のある守備を展開。元浦和DFの内舘秀樹氏を父に持つ内舘や本田が良い形でボールを奪い取ると、この日存在感のあったMF信太英駿(3年)や10番MF高橋航大(3年)が細かいタッチのドリブルで局面を打開したり、シュートを狙ったりしてチャンスを作り出した。

 後半9分、その浦和学院が先制する。右CKのこぼれ球に反応した高橋が弾丸ライナーの右足ボレー。これがゴールに突き刺さり、リードを奪った。浦和学院はその後もスピードのあるパス交換からゴールに迫る。森山監督から前がかりにならないように気をつけながらパススピードを上げること、ここぞのところでパワーをかけることという指示を受けた選手たちは落ち着いた守備を見せるCB唐川拓巳(2年)や昨年から主軸のCB中里竜也(3年)が要所を締め、試合をコントロールしながら2点目のチャンスを伺う。

 そして30分、本田のインターセプトを起点とした連続攻撃から右サイドのMF元吉大翼(2年)がシュータリング。これが逆サイドのゴールネットに突き刺さり、2-0となった。浦和東は後方から丁寧に攻撃を組み立て、サイドで相手DFを剥がすシーンもあったが、得点に結びつけることができない。試合終盤にはPAやや外側で続けてFKを獲得。そして、50分にはクロスのセカンドボールを拾ったMF横田遥人(3年)がPKを獲得する。キッカーのMF中野音央(3年)が一度GK浅賀琉斗(1年)に止められながらも跳ね返りを押し込んで1点差。だが、反撃はこの1点に終わった。

 浦和学院は埼玉1部残留へ向けて大きな、後期リーグ戦初白星。昨年度の選手権予選準々決勝で敗れている浦和東相手に、取り組んできた守備面などの成果を発揮した。内舘は「最初に比べたら良くなっている。今、すごく明るく良い雰囲気でやっている。あとは勝つというところ。パスミスとか徐々に減らしていきたい」とコメント。昨年のFW田中和樹(現法政大)やMF安居海渡(現流通経済大)のような抜きん出た選手はいないかもしれないが、チームの雰囲気は良く、森山監督も「面白い」と語る選手たちが並んでいる。

 森山監督が安居に続く存在として期待する攻撃的ボランチ・本田は選手権予選へ向けて「小さい頃から夢だったので、去年スタンドで悔しかったので自分がピッチに立って悔しさを晴らせるように頑張りたいです」。浦和学院はJリーグ、海外での経験豊富な指揮官から学んできたことを選手権のピッチで発揮する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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