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ネット社会の闇…SNSフォロワー数は1万超えも、ユーベ下部組織のメキシコ人選手は存在せず

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 19歳のディオニシオ・ファリドは、自身が所属するユベントスの下部組織の写真をインスタグラムに投稿し、フォロワー数を1万6000人にまで増やしてみせた。しかしその写真は自らが加工した画像であり、すべてが嘘。メキシコの新星など存在していなかった。

 イタリア『ガゼッタ・デロ・スポルト』やフランス『SO FOOT』などによると、ファリドの加工した写真はとても良く出来ており、そのためにユベントスの下部組織に所属していることも多くの人間が信じてしまったという。写真の助力もあり、ファリドは栄えあるUEFAユースリーグに出場した選手となり、その報せは地元メキシコのメディアさえも騙してしまった。

 手口として、ファリドは本当に所属しているユーベ下部組織の選手のSNSから画像を拝借。10人がガッツポーズを取っている写真では、肩車されているジョアン・セラーオの顔だけを巧妙に自分の顔とすり替えて、改めて自身のアカウントで投稿した。セラーオの顔はたびたびすり替えの対象になっていた。

 地元メディアやアルゼンチンメディアの取材にも、よく練られた話で対応したファリド。その情報はあっという間にSNSで拡散され、数日間でフォロワー数は1万6000人にまで増えたという。

 しかし拡散とともに疑惑も沸く。イタリアのメディアは19歳のメキシコ人がユベントスの下部組織に所属していないこと、そして加工されていない元の写真を発見したことをユベントスに連絡。そして、すべてが明るみとなった。

 散々でたらめを拡散したファリドだが、イタリアの地にすら足を踏み入れたことはなかったようだ。正体がばれたことに気づくと、インスタグラムのアカウントを削除。ユベントスユースに所属していたメキシコの新星は、現れたのと同じくらいのスピードでネット社会から消滅した。

 『ガゼッタ・デロ・スポルト』は今は亡きイタリアの小説家、ウンベルト・エーコの言葉を代弁。「ソーシャルネットワークは愚か者どもに足場を与えた」と苦言を呈している。今回の件は、誰しもが精巧な嘘を作り上げることができ、多くの人を騙せることを証明してしまった。

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