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[MOM2661]学法石川MF樋口裕平(3年)_「1番伸びた選手」攻守両面のサポートで勝利に貢献

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学法石川高のボランチ、樋口裕平は攻守両面のサポートで勝利に貢献した

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.27 選手権福島県予選準決勝 帝京安積高 1-1(PK3-4)学法石川高 西部サッカー場]

 学法石川高のボランチ樋口裕平(3年)は、幅の広いプレーでチームを助けた。前半、身長185cmの大型FWにボールを集める帝京安積の攻撃を食い止めたのは、センターバックを中心とした最終ラインだったが、樋口が、ハイボールのフォローで味方を助けていた。

 センターバックを務めた主将の熊谷太陽(3年)は「自分が競ったときに、相手がトラップしたところを(樋口が)狙うというのを意識してやっていた。(2人のセンターバックと樋口の)3人でうまく守れたと思う」と手ごたえを話した。相手のキーマンを前後で挟み込んで潰し、前半はプラン通りに無失点で進めた。

 後半になると、樋口は攻撃陣のフォローに走った。学法石川は、後半から樋口とダブルボランチを組んでいた滑川郁也(2年)を下げて、対人能力の高い石田健太朗(3年)を投入すると、樋口の役割を変更。また、前線にはスーパーサブの清水大成(2年)を投入し、エースの須和田亜門(3年)、右MF廣澤聖大(3年)と個人技に優れたアタッカー陣がドリブルを仕掛ける攻撃的な布陣に打って出た。

 押し込んだ味方からバックパスを受ける、ドリブルが相手に引っかかったルーズボールを確保する、FWとの距離を近づけてコンビネーションを可能にする。前に出たボランチが、プレーの選択肢を豊富にした。

 そして 後半27分、中盤でこぼれ球を拾うと、ドリブルで前進。タイミングを測って追い越した清水に、短い距離のスルーパスを絶妙な間合いで供給して先制点をアシストした。樋口は「持ち運べば、抜けてくれるのは分かっていたので、信じて出した」と振り返った。元々、攻撃力が武器。得意のプレーだった。

 いまや、チームに欠かせない存在だ。稲田正信監督は「昨年は途中出場で起用することが多かったけど、何もできないことが多かった。今年、1番伸びた選手だと思う。サッカーを本格的にやるのは高校までと決めた夏から、すごく変わってきた」と成長を認めた。卒業後は、救急救命士を目指す方針だという。選手権は、本格的にサッカーに取り組む、最後の舞台だ。かけている思いは強い。

 帝京安積との試合は、後半終了間際に追いつかれてPK戦までもつれ込んだが、どうにか勝ち切った。決勝戦の相手は、優勝候補筆頭の尚志だが、気後れするところはない。樋口は「相手の攻撃時間が長くなるので、割り切ってしっかり守る。全員、気持ちは入っているし、チームが一つになれば、チャンスは絶対に来る。少ないチャンスを物にして、守って、勝ちたい」と撃破を誓った。強敵を破るためには、この男の八面六臂の活躍が不可欠だ。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校選手権2018

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