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「勉強もサッカーも県で一番になるのが目標」。県立の進学校・藤島が11年ぶりの準決勝進出!:福井

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前半37分、PKを決めた藤島高MF東孝太郎がチームメートの下へダッシュ

[10.28 選手権福井県予選準々決勝 福井工大福井高 1-3 藤島高 丸岡スポーツランド]
 
 第97回全国高校サッカー選手権福井県予選準々決勝が28日に行われた。昨年のファイナリストである福井工大福井高と藤島高の一戦は、MF北川優輔(1年)の先制点を皮切りに3点を奪った藤島が3-1で勝利し、11年ぶりの4強入りを掴んだ。藤島は、11月4日の準決勝で福井商高と対戦する。

 今季、両校は県1部リーグで対戦しており、結果は工大福井が1勝1分。藤島は県屈指の進学校であるため、インターハイ予選後に3年生が引退する。下級生のみで今予選に挑む彼らにとっては決して分の良い相手ではない。

 実際、「相手は3年生最後の大会なので、そういった想いを持って挑んでくる。身体が大きい選手も多いので、自分たちの持っている力を最大限出せないと良い勝負に持って行けない」(田崎忍監督)と試合に挑んだが、開始と共に工大福井に押し込まれた。

 前半10分にはサイドを崩され、MF山崎柊(3年)のクロスから、MF岡倉太一(2年)に決定的なシュートを打たれた。左ポストに救われるなど失点してもおかしくない場面が続いたものの、「強豪なので、最初は全員でしっかり守ろうと話していた。守備をしっかりすれば、チャンスは来ると思っていた」(MF東孝太郎、2年)という藤島は、守備の集中を切らさない。

 DFとMFでしっかりブロックを作り、我慢の時間を耐えると、12分にはハーフウェーライン左付近でFKを獲得。「GKとDFラインの間にボールを落とすのをずっと狙っていた」と東が思い切り良く入れたロングボールを北川が頭で合わせて、藤島が均衡を崩した。

「先制するとは思ってなかった」と指揮官も驚く試合展開に持ち込むと、以降は「前に速い子がいるので、守備をしっかりやって、そこにボールをおさめていく」(田崎監督)戦い方を徹底。185cmの大型FW押野祐也(3年)を中心にパワフルな攻撃を仕掛けた工大福井の猛攻を、GK高森大樹(2年)を中心に耐えながら、カウンターを狙い続けた。

 すると、31分にはGKのビルドアップを奪ったFW土屋順平(1年)が2点目をマーク。37分にはボール奪取からドリブルでゴール前まで持ち込んだ土屋が倒され得たPKを東が決めて、一気に3点差まで引き離した。

 後半は、田崎監督が「3点獲った時点でまだ半分も残っていた。3点くらい簡単に獲る相手だったので、試合運びが難しかった」と振り返ったように、点差が開いた故に難しいゲームとなったが、前半同様に粘り強い守備からのカウンターを継続。後半13分に混戦から与えた決定機も清水が身体を張ってブロックした。試合終盤に1点を返されたが、藤島は4点目を狙いに行くなど、最後まで攻撃の姿勢を見せながら逃げ切りに成功した。

 毎年、多数の国公立大への進学者を輩出する進学校であるため、授業は毎日7時間目まで実施。練習時間も90分、遠征も日帰りがほとんどという条件の中で、田崎監督に「勉強と同じくらいサッカーも頑張ろう」と励まされながら、ボールを追いかけてきた。選手権予選での4強入りは11年ぶりの快挙だが、選手が見据えるのは更なる先。東は「今日の試合で勝てたのは大きい。自分たちの自信に繋がる。最近は良い結果を残せていないので、優勝を狙っていきたい。勉強もサッカーも県で一番になるのが目標」と意気込んだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2018

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