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[MOM2674]四日市中央工DF山本龍平(3年)_松本内定CB、無失点進撃の立て役者に

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松本内定のCB山本龍平主将が無失点勝利に貢献

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 選手権三重県予選準決勝 四日市中央工高 2-0 宇治山田商高 東員町スポーツ公園陸上競技場]

 U-17日本代表のMF和田彩起(2年)や昨年から10番を背負うFW森夢真(2年)らアタッカー陣のタレントが目立つ四日市中央工高だが、一方で春先から守備に不安を残していた。今予選でも守備陣の奮闘が戦いの鍵と見られていたが、蓋を開ければここまで無失点。樋口士郎監督が堅守の立て役者として挙げるのが、松本に内定しているDF山本龍平主将(3年)だ。

「自分たちの力は、この試合であまり出せなかった。攻撃がストロングポイントなのに、ボールがあまり動かせず、ロングボールが多くなってしまった」と悔やんだように、この日は立ち上がりから理想通りの展開に持ち込めなかった。1点が奪えず焦れてもおかしくない時間が続いたが、守備は「失点しないように簡単にプレーすることを心がけた」と振り返るように、山本を中心に冷静な対応を見せ、試合を落ち着かせた。

「身体能力が高くて、幅広くカバーリングをしてくれる」と樋口監督が評するDFは本来はスピードを活かした守りが特徴だが、この日際立ったのは空中戦の強さ。本人は「ヘディングでめちゃくちゃ勝てるキャラではない」と口にするものの、ことごとくロングボールを跳ね返した。

 山本の奮闘によって苦しい時間を耐え抜いた四中工は、前半終了間際にFW中村健人(3年)のゴールで先制に成功。後半もFW森夢真(2年)が加点し、2-0で勝利。試合後、樋口監督が「上手く行かないゲームでも失点しなくなったのは、今年の成長。何回かヘディングで大きく跳ね返してから、流れが良くなった」と話したように、2年連続での決勝進出は山本の存在抜きでは語れない。

 本職は左SBで、昨年は森と2トップを組んだように攻撃色が強い選手だ。だが、今年は守備を安定させるために、人材不足のCBとしてプレー。山本は「最初はこれまでとは景色が違って、どう動いて良いかも分からなかった」と振り返る。

 成長のきっかけを得たのは、インターハイ予選だ。本大会が地元開催とあって気合十分で大会に挑んだが、初戦の伊賀白鳳高戦で自らのミスで失点し、PK戦で敗退。「自分が競れなくて、失点してしまった。そこから自分の責任感の薄さが失点に繋がっていると気付いた」。そこからは、常に責任あるプレーを心がけることで、守備力の向上に励んできたという。

 1年目から試合経験を積みながらも、一度も全国の舞台に立てておらず、今予選にかける想いは人一倍強い。「1年生から試合に出させてもらっているのに、一度も全国大会に出られていない。自分が出ているから負けているのかなと思った時もあった」が、今は「自分がチームを勝たせるつもりでやっている」ことがチームにプラスの影響を与えている。「自分たちが全国大会に行きたい気持ちはあるけど、個人的には(監督の樋口)士郎さんを全国大会に行かせてあげたい気持ちが大きい」。そう意気込んだように、決勝でも責任感溢れるプレーでチームを勝たせるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2018

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