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PK戦で夏の優勝校突破!長崎南山が3年ぶりの決勝進出:長崎

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PK戦勝利を喜ぶ長崎南山高イレブン

[11.3 選手権長崎県予選準決勝 長崎南山高 1-1(PK4-2)長崎日大高 トラスタ]
 
 長崎南山が夏の優勝校撃破! 3日、第97回全国高校サッカー選手権長崎県予選準決勝が行われた。インターハイ予選優勝の長崎日大高長崎南山高との一戦は、1-1で突入したPK戦の末、長崎南山が4-2で勝利。長崎南山は3年ぶりの優勝を懸けて、11月11日の決勝で長崎総合科学大附高と戦う。
 
 3年前の全国出場を見て長崎南山に入学してきた世代が全国に王手を懸けた。PK戦はこの日、獅子奮迅の働きをしていた1人目・MF小畑壮介主将(3年)のシュートが右ポストを直撃。苦しいスタートとなったが、PK戦前に小畑からキャプテンマークを渡されていた副主将のGK緒方大輝(3年)が、この日1得点の長崎日大1人目・FW藤本蓮(3年)のシュートを左へ跳んでストップする。

 長崎南山は2人目のMF前田優人(3年)からMF本川大(3年)、そして「南山はPKの練習は毎日していて本当に自信しかなかったです」というMF田中遼太朗(3年)が連続で成功。右サイドで奮闘していた4人目SB堀江泰介(3年)が枠を外した長崎日大に対し、長崎南山は5人目の10番FW稲田龍(3年)がしっかりと決めて決勝への切符を勝ち取った。 

 長崎南山の村里英樹監督は「今年は粘って勝つしか無い」と苦笑するが、特長も出して掴んだ白星だった。試合は前半17分に長崎日大が先制点。左FW三浦楓生(3年)がサイドを突破して上げたクロスをファーサイドのFW山下真汰郎(3年)が頭で折り返し、最後は藤本が頭でゴールに押し込んだ。

 長崎日大はギャップを取りながら1タッチのパスを連続で通してサイド攻撃。攻守の要・MF牧村拓主将(3年)やMF池田竜大郎(3年)が流れ良くボールを動かし、追加点を狙った。対して、「自分たちは走るのが結構得意な部分でもあるので、そこでは負けないようにしていました」(小畑)という長崎南山は奪ったボールを後方で繋ぎ、長い距離をスプリントする右SB下田健介(2年)らの前方へボールを入れようとする。36分には中央のコンビネーションから最後は本川がフィニッシュ。これはわずかに枠左へ外れたが、37分に同点に追いついた。

 小畑が中央からドリブルで仕掛けて左足シュート。これは長崎日大DFがブロックしたが、混戦から左MF田中がダイレクトで放った右足シュートがGKの手を弾いてゴール左隅に突き刺さった。村里監督も「一発持っている」と評する田中のゴール。今年の特長でもあるワイドの攻撃力が得点に繋がり、試合を振り出しに戻した。

 同点で迎えた後半、サイド攻撃から藤本がフィニッシュまで持ち込む長崎日大に対し、長崎南山は正確なカウンターからゴール前のシーンを作り出す。後半半ばを過ぎると互いに足を攣らせる選手が出るなどゲームのテンポが落ちたが、終盤へ向けてオープンな展開に。長崎南山は前半に負傷したチームリーダー・CB水口洸(3年)が後半27分に交代するアクシデントがあったが、左SBからCBへ移動した木森玲雄(3年)と1年生CB浦達章が最終ラインの中央で粘り強く守り、攻撃でも交代出場したパワフルFW楠本大輔(3年)が幾度か局面を破りかける。

 1-1のまま突入した延長後半、互いにビッグチャンスを作ったものの、決められずにPK戦へ突入。熱戦は新人戦2回戦での対戦同様に、長崎南山がPK戦の末に勝ち上がった。今年の長崎南山は優勝した15年度以来、3年ぶりにキャプテン2人制を採用。インターハイ予選後に主力2人を含む3年生たちが勉学に専念するために引退したが、小畑と水口のリーダー2人をはじめ、残った15人の3年生を中心に「今年のチームの3年生は全体的に仲良かったので、苦しい試合でも最後まで頑張ろうとやって来れた」(緒方)という。特別な個はいないかもしれないが、まとまりの良さと、運動量などの特長を発揮することで勝ち上がってきている。

 3年ぶりの決勝進出。全国切符を懸けた対戦相手は、昨年度全国8強の強豪・長崎総科大附だが、田中は「日本代表もいて強いと思うんですけれども、チーム一丸となって優勝目指して頑張ります」と意気込んだ。相手の迫力ある攻守に対して粘り強い戦いで勝負し、代表切符を引き寄せる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2018

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