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[MOM2689]神村学園MF和田駿斗(3年)_2発!オフ・ザ・ボールの感覚掴んで“厄介極まりない選手”に

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神村学園高MF和田駿斗は2得点の活躍

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.8 選手権鹿児島県予選準々決勝 神村学園高 6-0鹿児島中央高 鹿児島県立サッカー・ラグビー場B]

 オン・ザ・ボールのマジシャンは、オフ・ザ・ボールの感覚を手にして一皮むけたようだ。

 有村圭一郎監督が「元から力はある選手なんです。もっと注目されていてもおかしくはなかった」と語ったのは、神村学園高MF和田駿斗(3年)。俊敏で技巧的なドリブルに特長を持つ選手で、従来のイメージはサイドの1対1から打開していく突破職人。ただ、「とにかく足元でもらおうとし過ぎている」(有村監督)という弱みもあった。和田本人も「ボールもらってから何とかする」イメージだったことを明かす。

 それでも大抵のDFなら抜けてしまうスキルがあったのだが、本当に高いレベルの相手を考えると厳しい部分がある。守備面に難があったこともあり、「ちょっと中央には置けない、サイドに張らせる形以外では使いにくい選手だった」(有村監督)。その和田を、今大会は中央のポジション、センターFW新田龍生(3年)の脇に置いた。和田のプレーから明確な変化を感じ取っていたからだ。

「自分でスペースを探して前を向ける位置でボールを受けるようになってきた。相手の背中でボールをもらえるようになってきたんです」(有村監督)

 この起用に和田も応えた。元よりスピードはある選手なので、背後へ飛び出す動きが加わることで相手DFにとって“厄介極まりない選手”になった。鹿児島中央高との選手権鹿児島県予選準々決勝では、1-0で迎えた前半35分に巧みな判断と見事な技巧から1点を奪い取る。

「相手がマンツーマンだったので、離れるんじゃなくて逆に貼り付いてやった」という状態でMF深港壮一郎(3年)からの縦パスを引き出すと、そのまま背中に貼り付いている相手DFの体を支点とするように素早く反転しながら右足シュート。「ゴールの位置は感覚的に分かっていた」という見事な一発でゴールネットを揺らしてみせた。後半19分には右サイド突破からのグラウンダーのクロスに合わせる形で抜け目なく追加点も奪取したほか、得意のドリブル突破でも会場を沸かす活躍ぶりだった。

 もちろん、「大事なところで決めてチームを助けられる選手になりたい」と語る和田にとってはここからが正念場。残る県予選準決勝、決勝、そして夢の全国舞台の「大事なところ」で、その進化が問われることとなる。

(取材・文 川端暁彦)
●【特設】高校選手権2018

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