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生まれ変わってもGK…川口能活の本音「余力はあるが悔いはない」

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引退会見に臨んだ川口能活

 元日本代表GK川口能活(43)の引退会見が14日に行われた。数々の栄光を飾った現役生活。日本のGKが世界に羽ばたくパイオニアとしての功績は、今後も語り継がれるであろう素晴らしいものだった。

 生まれ変わってもGKがやりたいか。川口は迷わず「もう一度GKですね」とにこやかに答えた。「大変なことはありましたけど、練習が楽しかった。もう一度サッカーをやるにしてもGKをやりたい」。

 兄の影響でGKを始めたという川口。幼少期、大ヒットアニメ『キャプテン翼』の影響で周囲は主人公の大空翼や日向小次郎に憧れを持つ子供たちで溢れていたが、川口は当時からGKの若島津健や若林源三に憧れたという。

 高校時代からスーパースター。静岡県の名門、清水商高(現清水桜が丘高)では高校3年時にキャプテンとして全国選手権を制覇。鳴り物入りでプロ入りを果たすと、2年目には当時日本代表の正GKだった松永成立からポジションを奪いとった。

 横浜マリノス(現横浜F・マリノス)への入団の決め手になったのは「松永さんがいたから」という川口。「松永さんの壁を越えないと日本を代表するGKになれないと思った」。また当時の横浜Mは多くの日本代表選手が在籍していたことで、「強烈なオーラを放っていた。とても気軽に話せるような環境ではありませんでした。日本代表のトップクラスになるにはこういうオーラが必要なんだと思った」。

 アトランタオリンピックの“マイアミの奇跡”。フランスワールドカップアジア予選の“ジョホールバルの歓喜”。2004年のアジアカップ中国大会の準々決勝ヨルダンとのPK戦。日本サッカーの歴史を振り返ると、分岐点には常に川口能活がいた。

 プロキャリア25年。日本代表キャップ数はGKではただ一人100試合を越える116試合に出場。そしてワールドカップを4度経験した。海外でのプレーを経験したにも関わらず、Jリーグの通算出場数も500試合を越えている。

 しかし近年はJ3という難しい環境に身を置くことで、自問自答する日々を過ご決勝したという。「実はこの1年2年、プレーを続けるか、引退するかの狭間で揺れていた」。

 そんな中で今年夏、ロシアワールドカップで奮闘する日本代表、アジアの大会で結果を残す世代別代表の活躍が目に入ってきた。そこで「僕が代表でやっていた時よりも上のレベル、世界で戦えるレベルになってきている」と感じることが出来たことで、引退の決心がついた。

 ただ「やり遂げた気持ちと、まだ出来るという気持ち」があると本音も覗かせる。あくまでも向上心を失わない43歳。「体は元気なので、完全燃焼したかと言えば、まだ余力はある。でも悔いはない。常にベストを尽くしてきて、この決断に至ったので、後悔はしていない。次のステップに進みたい」。衰えぬ情熱は、今後も日本サッカー界に絶対、必要だ。

(取材・文 児玉幸洋)
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