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[MOM2721]東山MF倉貫直人(3年)_京都3冠の立役者。東山に欠かせない頼れる主将

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東山に欠かせない頼れる主将MF倉貫直人(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.18 選手権京都府予選決勝 東山高1-1(PK5-4)京都共栄高 西京極]

 京都3冠を達成した東山高の今年の武器は、チーム一丸となって戦う団結力だ。昨年のFW池田昌生(J3福島)のように一人で試合を決められる選手は決していない。

 ただ、DF井上竜稀(3年)が「キャプテンを中心に戦うのが僕らのサッカー。1年の頃から試合に出ていて頼りになる。運動量が豊富で守備にもしっかり戻ってくれるし、攻撃でも前にしっかり走ってくれる。プレーで引っ張ってくれる選手」と評するように、主将のMF倉貫直人(3年)がいるのといないのとではゲームが大きく変わってくる。

 京都共栄高と対戦したこの日の試合でも、倉貫の存在感が絶大だった。選手権出場がかかった緊張感のある試合となり、厳しい展開になるのは想定内。「チームとしては前半、点が獲れたらOK」(倉貫)という考えで試合に挑んだが、前半4分にFW久乘聖亜(3年)がヘディングシュートを叩き込み、東山が先制した。

 幸先の良いスタートを切ってからは、相手が前から奪いにこないことを確認し、倉貫は最終ラインからのビルドアップに参加。サイドハーフの仕掛けや、2トップの飛び出しを引き出したが、ゴール前での精度を欠いたため、追加点が奪えない。

 決して悪くないゲーム展開だったが、「決めきれなかったら、ピンチもやってくる」(倉貫)のがサッカーの常だ。後半は逆転を狙った京都共栄に押し込まれる時間が続いたが、東山は倉貫を中心に「ここで崩れたら終わる。焦れずに戦おう」と選手同士で話し合い、守備の集中を切らさない。

 倉貫もDFラインの手前で壁となりながら、セカンドボールの回収に励んだが、後半38分にはクリアボールのこぼれ球を決められて試合は振り出しに。それでも、失点直後に選手を集めて、「まだ同点だから、焦らないで良い」と声を掛け、チームは落ち着きを取り戻した。

 延長戦でも決着がつかず、勝負の行方はPK戦に委ねられた。キックの順番は選手自身で決めるため、倉貫は「5番目を蹴りたかった」と立候補。それまでの4人がきっちり成功し、成功すれば勝利が決まるという重圧のかかる場面だったが、冷静にゴールネットを揺らした。

 倉貫は「自分が目立たなくても、『コイツがおったら相手が上手くいかへんな』と思われる選手になりたい」と話す“いぶし銀タイプ”の選手だが、「しんどい時も、存在感だけでゲームをコントロールしてくれた」と福重良一監督が称えたように、22年ぶりの栄冠は彼の存在抜きでは成し遂げられなかった。

(取材・文 森田将義)
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