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[MOM2766]立正大淞南FW鶴野怜樹(3年)_兄の思い背負い、指揮官の教え守った2ゴール&“2起点”

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2ゴールを含め、全4得点に絡んだ立正大淞南高FW鶴野怜樹(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権1回戦 岐阜工高0-4立正大淞南高 等々力]

 自慢のアタッカーコンビが揃って全4ゴールに絡んだ立正大淞南高(島根)。いずれもマン・オブ・ザ・マッチにふさわしい活躍を見せたが、より幅のあるプレーを見せたFW鶴野怜樹(3年)を選びたい。「初戦が大事なので強気でプレーした」という勢いを保ち、一気に試合を決める仕事をこなしていた。

 選手権1回戦の岐阜工高(岐阜)戦、普段は鶴野とFW藤井奨也(3年)が2トップに並ぶ立正大淞南だが、この日は藤井が左ウイングに開く陣形を採用した。4バックでがっちりと守り、右サイドアタッカーが強力な相手に対し、藤井の斜めに走っていく動きを攻守に役立てる狙いがあったという。

 だが、その作戦を奏功させたのは鶴野の存在だった。前半9分、MF石橋克之(2年)が攻め上がると、藤井はプランどおり中央に向かってスプリント。この動きを見た鶴野は、交差する動きでニアに走り込んだ。相手DFもかろうじて追いつき、シュートには結びつかなかったが、こぼれ球から藤井の先制点が生まれた。

「ミーティングの時からターンして持って行けと言われていたので、ニアでターンしようとしたらうまくつぶれることができた。そこから得点が入って良かった」。南健司監督からの指示を遂行し、チームの先制点に貢献。さらに前半23分には自身にの初ゴールも生まれた。

 ゴール前の混戦から向かってきたボールをヘディングで味方に落とし、藤井のシュートが空振りに終わったのを見逃さずに左足でダイレクトシュート。「普段からルーズボールを逃さないように言われていたし、シュートの打ち方も教えてもらっていたので」と技術を伝授した指揮官に敬意を示した。

 前半38分には自身の縦パスを受けた藤井がPA内で倒され、3点目につながるPKを獲得。また後半8分には、藤井のパスに走り込み、スライディングシュートで華麗に流し込んだ。「浮かないようにするスライディングシュートとか、しっかり肩を入れて打つように習った」(鶴野)。ここでも指揮官の教えが生きていたという。

 後半21分に交代でピッチを退いたが、終わってみればシュート3本での2得点に加え、実質的な“2アシスト”。「藤井と勝負していると見られているみたいだし、ハットトリックになる3点目を取りたかったので悔しい気持ちはあるけど…」と本音ものぞかせつつ、「まずは2点取れたので良かった」と振り返った。

 熊本県で生まれ育ち、立正大淞南と同様の練習法を採用する中学時代はヴィラノーバ水俣でプレー。そして3年前、1歳上の兄・桐真を追う形で進学してきた。「兄ちゃんを追いかけて淞南に来て、去年は自分だけ試合に出たのに活躍できず悔しかった。『来年は点取れよ』と言われていた」と思いも背負って戦った。

「選手権でのゴールは格が違うし、絶対に取りたいと思っていた」という野望を叶え、見据える目標は全国制覇。「日本一を目指して練習してきたし、南先生のサッカーをやっていれば全国で通用すると信じてやってきた」。チームのスタイルを誇るアタッカーが最後の選手権で好スタートを切った。

(取材・文 竹内達也)

●【特設】高校選手権2018

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