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エース藤井が堂々ハット!! 大応援団の立正大淞南、“相当うまかった”那覇西に圧巻6発大勝

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ハットトリックを達成した立正大淞南高FW藤井奨也(3年、写真右)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権2回戦 那覇西高1-6立正大淞南高 等々力]

 第97回全国高校サッカー選手権は31日、2回戦を各地で行い、等々力陸上競技場の第1試合では立正大淞南高(島根)が那覇西高(沖縄)を6-1で破った。1回戦で2得点のFW藤井奨也(3年)がハットトリックを達成し、2試合連続での大勝。3日の3回戦は矢板中央高(栃木)と対戦する。

「応援団が後押してくれていたのが最大の理由」。試合後のインタビューで立正大淞南の南健司監督が振り返ったように、バックスタンドを黄色く染めた控え部員が試合前から抜群の音量で声援を送っていた。選手たちは「出れない俺らのためにも」というチャントも受け、見事なゴールラッシュを見せつけた。

 序盤は互いに硬い立ち上がり。30日の開幕戦・駒澤大高戦から中2日の那覇西は、DF比嘉来揮(3年)のロングボールを1トップのFW高良竜太朗(3年)に当てつつチャンスを狙う。対する立正大淞南は1回戦で共に2得点を挙げた藤井、FW鶴野怜樹(3年)にボールを集め、素早い攻撃をしかけていった。

 中央を華麗に崩す那覇西が徐々に主導権を握ったかに思われたが、先に試合を動かしたのは立正大淞南。前半14分、カウンターの応酬から鶴野にボールが入ると、鋭いドリブルでPA左に侵入し、角度のないところから左足シュート。GK新垣凱斗(2年)が素早い反応で止めたが、こぼれ球を藤井が頭で押し込んだ。

 その後はしばらく立正大淞南のペースが続き、MF山田真夏斗(2年)、DF山田祐樹(3年)に決定機が訪れたが、前半37分に那覇西が同点とする。中盤で相手のミスにつけ込み、DF東舟道尚吾(3年)のパスにFW高良竜太朗(3年)がフリーでPA内へ抜け出すと、左足シュートをゴール右上に突き刺した。

 開幕戦と同様、先行される形から追い上げに成功した那覇西だったが、直後の前半40分、立正大淞南が再び勝ち越す。スローインから1トップの鶴野がゴール前をえぐり、左に開いて鋭いクロスを配給。GK新垣がわずかに触ったものの、ゴール前に落ちたボールにMF石橋克之(2年)が詰め、豪快なボレーで叩き込んだ。

 ハーフタイムが明けると、再び一進一退の形勢。後半5分、那覇西はDF大城琉賀(3年)のロングシュートがGK豊田純平(2年)を強襲したが、こぼしたボールは豊田が再びキャッチ。立正大淞南はMF大西駿太(3年)のドリブルが脅威となり、那覇西守備陣は人数をかけた対応に追われた。

 勢いを強める立正大淞南は後半17分、右CKのトリックプレーからDF不破将生(3年)と山田がつないでゴール前に送ったが、DF仲程飛雄(2年)がギリギリでブロック。同22分には、右サイドを駆け上がった石橋のクロスに大西が飛び込んだが、ジャンピングヘッドはクロスバーに阻まれた。

 対する那覇西は途中投入のFW上原綾斗(3年)が右サイドでスピードを見せ、カウンター攻撃の先陣を切ろうとするが、中央をがっちりと締めて守る立正大淞南の中盤を相手にパスコースを見つけられない。それでも那覇西は同25分、MF許田楓太(3年)を入れ、さらに前がかりな布陣を取った。

 ところが、立正大淞南がここから猛烈なゴールラッシュを見せる。まずは後半26分、鶴野のパスから藤井が角度のないところから決めて3点目。同29分には鶴野がPA内で倒されてPKを得ると、これを藤井が沈めてハットトリックを達成した。同30分には大西がドリブルシュートを決め、5分足らずで3点を奪った。

 なおも攻勢を強める立正大淞南は後半38分、ここまで何度も鋭い突破を見せていた大西が右サイドを切り裂き、ゴール前にクロスを送ると、途中出場のFW草場勇斗(3年)がダイビングヘッドを叩き込む。同38分には、控えGK板垣沙亮(3年)を入れる余裕も見せ、終わってみれば5点差での3回戦進出を決めた。

 立正大淞南は1回戦の3点差勝利に続き、2試合続けて大差での勝利。「相当うまかったけどね」と相手のテクニックに舌を巻いた南監督は、失点直後にスローインから奪った3点目をポイントに挙げた。「必殺技が出ましたね」。選手たちのアイデアをそう称えると「あれで一気に勢いが出た」と喜んだ。

 1回戦で全4得点を導いていた鶴野、藤井のコンビがこの日も4点を導く活躍。だが、南監督は2人の存在を称えつつも、他の選手の名前を一人一人挙げて「2試合よく機能してくれた」と全体を評価する。圧倒的なスコアラー陣を個性豊かな選手たちが支え、それをスタンドから大勢の控え部員が盛り立てるという全員サッカーで、4年ぶりの3回戦進出を導いた。

(取材・文 竹内達也)

●【特設】高校選手権2018

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