[1.3 全国高校選手権3回戦 丸岡2-3日本航空 駒沢]

　日本航空高(山梨)に頼もしい男が還ってきた。選手権緒戦となった2回戦・四国学院大香川西高(香川)戦。日本航空の主将は、ピッチに立つことがかなわなかった。山梨県リーグで退場となったため、続く選手権で出場停止処分となっていたからだ。

「負けたら自分の選手権も終わってしまう」。MF塚越誠也(3年)は祈るような気持ちで、仲間たちの戦いを見ていた。PK戦の末、無事に3回戦へと駒を進め、丸岡高(福井)戦でキャプテンマークを巻いて先発した塚越は「憧れの舞台なので立ててよかったです」と胸をなでおろした。

「たくさん人をかけて、走ることによって数的優位をつくる。単純なことしかやってきてません」と日本航空の仲田和正監督は自分たちを顧みたが、そのチームにおいて塚越の存在は特別だという。「彼は向こう気が強い人間なので。今日は彼が戻ってきてくれたことで、チームを引っ張ってくれました」。そう指揮官が認めれば、「自分たちが集中していないときも、気合いを入れる言葉をかけてくれる。チーム全体が前向きな雰囲気でできる」と後輩のDF小田翔大(2年)もその存在の大きさを語る。

　そして、身近なライバルの存在が、チームの原動力になっている。同県の山梨学院が今夏の総体で優勝、「日本一をとって刺激になった」と塚越は認める。日本航空にとって全国大会での最高成績となるベスト8入りは、通過点でしかないのかもしれない。

　さらに上に行くには、大黒柱のさらなる活躍が不可欠だ。「もうちょっとできた」とこの日の出来に指揮官は不満をもらすも、「彼にとっては今日は初戦だったので、次はもっとよくなると思う」と期待。続く5日の準々決勝、日本航空は瀬戸内(広島)と対戦する。

(取材・文　奥山典幸)

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