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[MOM601]筑波大FW犬飼翔洋(4年)_ 浪人して入った筑波大、“怪物”新入生には負けない

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筑波大はFW犬飼翔洋のゴールで勢いづいた

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.14 関東1部L第2節 筑波大2-2桐蔭横浜大 味フィ西]

 流れを変えたのは途中出場の2人だった。2点ビハインドの後半22分、筑波大は負傷でベンチスタートとなっていたDF山原怜音(2年=JFAアカデミー)と、FW犬飼翔洋(4年=中京大中京高)が同時にピッチに送り込まれる。すると同24分、右サイドから山原が上げたクロスが犬飼の頭にピタリ。反撃の1点が決まると、勢いは同アディショナルタイムの同点弾に繋がった。

「悪い形で失点して、そのままズルズル行っていたので、交代で出る選手がカギになると思っていた。最高の準備するように心がけていました。自主練習の時から怜音とはずっと練習していました。練習でいいクロスを上げていたので、そこは信じて、ゴール前でしっかりと頭に当てることをイメージしていました」

 昨年、連覇を狙った筑波大だったが、大エースの中野誠也の卒業によってFW不足に苦しんだ。MF三笘薫(4年=川崎F U-18)をトップで起用する苦肉の策を強いられることもあった。だたようやく秋になって選手が台頭。そこで頭角を現してきたのが犬飼だった。「自分がFWをやっている中で、FWがいないと言われるのは悔しかった」。10月に初めてリーグ戦の出場を果たすと、インカレではゴールも記録。FW不足のチームに光をもたらした。

 ただ開幕戦は悔しいベンチ外となっていた。開幕戦でいきなりハットトリックの活躍をみせた“怪物”FW森海渡(1年=柏U-18)の入学があったために、スタンドからの観戦を強いられていた。「勝ってほしいという気持ちはあったけど、めちゃめちゃ悔しい思いがあった」。「化学反応」と相乗効果を喜ぶ小井土正亮監督も、「先週の練習から気合が入っていた。やってくれそうな雰囲気はあった」と犬飼の活躍に目尻を下げた。

 1996年4月19日生まれ。本来は昨年卒業したFW西澤健太(清水)やMF鈴木徳真(徳島)らと同学年だ。筑波大には1年の浪人を経て入学した。中京大中京高出身で、3年時にはインターハイと選手権に出場したが、現役時に受けた推薦入試は不合格。だがそのことが筑波大への想いをより強くしたという。

「徳真とか健太が活躍している姿をみて、自分もまたあいつらとサッカーがやりたいなという気持ちが強くなった」

 まずは高校3年時、選手権に出場した1月まで全くやっていなかったという勉強に専念。合間にリフレッシュを兼ねて社会人チームが行う草サッカーに混ぜてもらって、最低限の体力の意地に努めた。

 筑波大に入学後はなかなかトップチームに絡むことは出来なかったが、昨年10月27日の順天堂大戦で初のベンチ入り。悲願となっていた鈴木徳真ら“同学年”と同じピッチに立った。「去年、少しだけ一緒のピッチでプレー出来た。次の舞台でも切磋琢磨したいなと思います」。

 次の舞台。進むためには、まだまだ足りないことが多いと本人も自覚している。そのためにはとにかく目立つプレーをすることが必要になる話す。両親ともに生粋の日本人だが、外国人のような顔立ち。そんな“目立つ”すべてを武器にして、アピールしていきたいという。

「最上級生として、自分が点を取って勝たせるという強い気持ちを持っています。自分の強みはヘディング。守備の献身性も、(森)海渡には負けていないと思う。そして一サッカー選手としてはプロは目指すべきところ。こうやって結果を出すことができれば、身長からも、見た目からも目立つ部分があるので、目をつけてもらって、プロの舞台で活躍できればなと思っています」

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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