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[関東大会予選]桐光学園が4発4強入り、JやU-20代表で経験積むエースに負けない成長期す :神奈川

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後半24分、FWラナイメアー祈安のゴールを喜ぶ桐光学園高イレブン

[4.30 関東大会神奈川県予選準々決勝 桐光学園高 4-0 川崎市立橘高 横須賀リーフ]

 最注目FWに負けない進化を――。2019年度関東高校サッカー大会神奈川県予選準々決勝が30日に行われ、桐光学園高がU-20日本代表FW西川潤主将(3年)の先制ゴールなどによって川崎市立橘高に4-0で快勝した。桐光学園は5月5日の準決勝で、関東大会出場を懸けて湘南工科大附高と対戦する。

 4月14日に行われた県1部リーグでの対戦は2-2でドロー。だが、当時不在の西川を加えた桐光学園が、今回は快勝を収めた。この日はFW佐々木ムライヨセフ(3年)やCB奈良坂巧(2年)といった主力組を欠いていたものの、桐光学園は個々の技術力の高さや要所でゴールを守り切る部分で相手との差を作り出した。

 すでにC大阪でJ1やルヴァン杯デビューを果たし、スルーパスによるアシストも魅せている西川は、ボールが入ると厳しいチェックでファウルを受けるようなシーンの連続。そのため、少ないタッチでボールを散らしながら、チャンスと見るやゴール前での崩しにかかわり、決定的なパスやシュートを放っていた。前半、市立橘は押し込まれる展開にこそなっていたものの、守備範囲の広いGK田中頼樹(3年)の好守もあって均衡を維持する。

 市立橘は攻撃面でも良い形でのインターセプトからシュートシーンを作り出す。30分にはFW中村大輝(2年)が左サイドでDFをかわして独走。そして、ファーサイドで中村からのラストパスを受けた10番MF白鳥颯太(3年)が右足を振り抜く。33分にもFW生方真羽(3年)が左中間から強引に縦へ割って入り、その折り返しをMF安部粋(3年)が右足で狙った。市立橘は個やグループで相手のマークを外して仕掛ける巧さも見せていたが、桐光学園はGK桃井玲(2年)の好セーブなどで得点を許さない。

 すると、37分に桐光学園がスコアを動かす。左サイドから仕掛けたMF神田洸樹(3年)のクロスが相手選手のハンドを誘い、PK。これを西川が左足で左隅に沈めて先制した。桐光学園は後半、サイドからの崩しでチャンスを連発。MF中村洸太(3年)が運動量多く相手との距離を詰めるなど攻守で貢献し、「(県リーグでの対戦で)セットプレーで2失点していて、去年のCB越えるんだったらセットプレーで失点をなくさなければいけないので、声かけてゼロで終わるんだと話していました」というCB安久レオナルド高貴(3年)を中心としたDF陣も後半は安定感を増した。

 そして24分、桐光学園は左CKの流れから西川が左足クロス。これをFWラナイメアー祈安(3年)が頭でゴールに突き刺して2点目を奪う。さらに29分には大型左SB深澤覚(2年)のクロスからラナイメアーが落とし、最後はこの日テクニカルなプレーを連発していた神田が左足で豪快に決めた。

 桐光学園は33分にも中村の左CKからCB原琉斗(3年)が決めて4-0。内容は決して良く無かったものの、攻守に力を示して白星を勝ち取った。西川は再びC大阪に合流するために準決勝、決勝は欠場する見込み。選出が有力となっているU-20ワールドカップ(5月23日~6月15日、ポーランド)メンバーに選ばれれば、1か月以上離脱することになる。それでも鈴木勝大監督は「いない中で潤に近づく、追いつく選手が出て来ないといけない」と前向き。指揮官は彼らが課題の心の部分で成長してくることを求めた上で、今年のチームのポテンシャルの高さに期待していた。

 中村は「リーグ戦で潤がいない時に結果が出なくて(1勝2分)。でも、時間は流れていくので下を向いていられない。修正して、上向いて頑張っていこうとみんなと話したり、潤に(電話で)話したりしています」とコメント。対して、西川は「もっともっとやるべきところはあると思うんですけれども、自分が(C大阪やU-20代表での経験を)伝えたりして、自分がいない中でも競争して戦ってくれればいい」とチームメートたちがレベルアップすることを願っていた。

 西川不在の中で自分たちを律し、厳しさを持って成長することができるか。安久はチームのまとまりが出てきたと同時に互いの言葉がけなどが緩くなっていたことを指摘する。「締める選手がいなければいけない。みんなが(厳しさを持ちながら)まとまってくれば、チームとして良くなっていくと思う」。インターハイ予選から再合流予定の西川とともに「全員で高めながら一つ一つの試合で勝ち進んでいく」(西川)。昨夏全国2位の桐光学園が今年、最注目FWと切磋琢磨して壁を破る。

(取材・文 吉田太郎)

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