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「新たな軸」大型CB濱本がVヘッド!昨年全国ベスト4の東山が桂を延長戦で振り切る:京都

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延長前半5分、京都橘高CB濱本尚希が決勝点

[5.25 インターハイ京都府予選準決勝 東山高 2-1(延長)桂高 太陽が丘球技場B]

 昨年度全国4強の東山が延長戦制す――。令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)京都府予選準決勝が25日に行われ、昨年度全国4強の東山高と府新人戦準優勝の桂高が対戦。東山が延長前半にCB濱本尚希(3年)の決めた決勝点によって2-1で競り勝った。東山は6月2日の決勝で京都橘高と戦う。

 苦しい試合だったが、勝ち切った。東山は前半14分、右SB木下誠太(3年)の右ロングスローのこぼれ球をMF藤枝康佑(1年)が右足ボレーで決めて先制。「自分はボールを持つところじゃなくて、ボールを持っていないところの動きで評価されて試合に出ているところがあるので、自分がボールを持っていないところでもチームのプラスになるように意識して動いています」という10番FW中山翔(3年)とFW伊藤直樹(3年)を筆頭に、前線からのプレッシングで相手の縦パスやクリアを乱した東山は、木下のロングスローなどセットプレーからシュートシーンを作り出す。

 一方、先制された桂だがCB外村颯大(3年)とCB松浦颯馬(2年)を中心に相手の攻撃を確実に跳ね返し、オープンスペースへ配球。連動した動きで相手の背後を狙うFW甲元大成(3年)とFW澤井翔(3年)が走り込み、東山にプレッシャーをかけた。

 東山は大型CB濱本が圧倒的な高さで相手の攻撃を跳ね返し、CB見上瑞紀(3年)がこぼれ球やクロスボールをしっかりとケア。甲元の弾丸FKを浴びるシーンもあったが、ほぼ隙なく守って前半を1-0で折り返した。

 ピッチがやや荒れていたこともあり、東山はなかなか中盤でボールを動かすことができず、ロングボールが増えてしまう。元FWの強力左SB中山雅斗(3年)がロングボールやプレースキックを蹴り込んだほか、後半に投入されたFW北川大翔(3年)や中山がボールを収め、幾度かドリブル突破にチャレンジしていたものの、相手ゴールを脅かすには至らない。

 逆に後半のクーリングブレイク後にエネルギーを持って反撃していた桂の思いが結実する。26分、左SB東本龍之介(3年)の左クロスに身体を投げ出して飛び込んだ甲元がGKと接触してPKを獲得。これを甲元が自ら左足で決めて1-1とした。

 追いつかれた東山はセットプレーの本数を増やし、アディショナルタイムには藤枝の突破から中山が右クロス。これをニアの藤枝が頭で合わせたものの、GK正面を突いてしまう。試合は1-1のまま延長戦へ突入。公立校の桂の健闘が光る試合は「新たな軸」のゴールによって東山が勝利した。

 延長前半5分、東山は敵陣中央右寄りの位置からMF三谷遼馬(3年)がFKを蹴り込む。これを濱本が抜群の高さの打点からヘディングシュート。これが逆サイドのゴールネットを揺らして勝ち越し点となった。この後、東山は巧みに時間を使いながら逃げ切りへ。桂も甲元に決定的なクロスが入ったが、追いつくことはできず、東山が2連覇に王手をかけた。

 東山の福重良一監督は「新人戦よりは全然良くなっている」と語る。昨年は京都3冠を達成し、レギュラークラスでは中山と木下、見上が残ったが、彼らは軸というよりは枝葉の役割をしていた選手たち。新チームのスタートは苦しんだものの、4月に転校してきた大型CB濱本(鳥栖U-18出身)が加入して新たな軸に。チームとして形になってきている。

 中山は「去年と同じように堅い守備からカウンターとかそこでやっていきたいですし、去年は一人一人のレベルが物凄く高いという訳でなくて、一人一人の力が合わさってチーム一つになって毎試合毎試合安定した戦いができていた。そこの部分でいったら自分たちはまだまだチーム力も足りていないですし、試合によって波もあるのでそこを修正していけたらと思っています」と先輩たちのようにチーム力を高めることを誓った。

 全国出場権を獲得して少しでも多くの経験を積むことができるか。中山は京都橘との決勝へ向けて「新人戦で負けてしまったので、それの借りを返せるように次の試合、ここから準備して勝てるようにしたい」と力を込めた。最高の準備をして、今年もライバルを破って全国切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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