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延長終了間際に執念の同点弾!半年分の思いと努力ぶつけた日本文理が選手権8強の帝京長岡にリベンジ!:新潟

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PK戦勝利を喜ぶ日本文理高イレブン

[6.1 インターハイ新潟県予選準決勝 帝京長岡高 3-3(PK3-5)日本文理高 五十公野公園陸上競技場]

 日本文理が宿敵にリベンジ! 1日、令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)の新潟県予選準決勝が行われ、18年度選手権8強の帝京長岡高と17度選手権8強の日本文理高との一戦は3-3で突入したPK戦の末、日本文理が5-3で勝った。日本文理は2日の決勝で北越高と戦う。

 半年分の思いを込めて戦い、宿敵を破った。日本文理は昨年11月、連覇を懸けて臨んだ選手権予選準決勝で帝京長岡に2-3で敗戦。後半終了間際に追いついたが、アディショナルタイムに勝ち越し点を許して涙を流した。

 現主将の右SB古俣眞斗(3年)は「去年の選手権のリベンジを果たさないといけなかった」と振り返る。帝京長岡は京都内定MF谷内田哲平主将(3年)やU-18日本代表FW晴山岬(3年)、U-17日本代表MF田中克幸(3年)、U-17日本代表候補MF矢尾板岳斗(3年)ら擁する強力攻撃陣。だが、「個で勝てないのは知っていたので、とにかく気持ちで戦おうと。特別なことはしていないです。気持ちだけ。入りはみんなで魂込めてやろうってやりました」(古俣)という立ち上がりから特長のフィジカルの強さと高さ、ハードワークを押し出したサッカーで帝京長岡を飲み込もうとする。

 帝京長岡がサイドからの崩しで先に決定機を迎えたが、これを凌いた日本文理が先制点を奪う。前半11分、相手のビルドアップのミスをインターセプトすると、そのまま抜け出したMF秋元圭太(3年)が右足で先制ゴール。リードした日本文理は秋元やMF長崎颯真(2年)が厳しいチェックを見せていたほか、前線の選手がロングボールをよく競ったり、献身的な守備を見せたりなどサボることなく相手にプレッシャーを掛け続けた。

 帝京長岡は個々のキープ力の高さに加え、コンビネーションから谷内田や右SB吉田晴稀(3年)が前線を追い越してシュートを打ち込んでいた。だが、谷内田とマッチアップした古俣が「谷内田は誰も見えていないところが見えているので、とにかく頭を動かして周りを見て、誰も見えていないところを自分は察知してここは通させないというのがありました」と語ったように、谷内田や晴山といったキーマンに決定的な仕事をさせなかった日本文理が2点目を奪う。

 前半28分、日本文理は敵陣の左エンドライン際でボールを失ったが、長崎が奪い返してラストパス。これに走り込んだMF中林海成(3年)が左足ダイレクトで決めて2-0とした。日本文理の駒沢隆一監督が「前半は出来すぎ。目指していた展開」と語ったのに対し、まさかの2点ビハインドとなった帝京長岡は後半、谷内田をインサイド、左にパワフルMF本田翔英(3年)、右に田中へと配置変更。すると、開始7分で同点に追いついた。

 5分、本田の左からの折り返しをMF川上航立(2年)が落とし、矢尾板が右足コントロールショットで決めて1点差。さらに7分には田中が右CKを左足で直接決めて歓喜を爆発させる。この後も好パスを連発する谷内田ら中心にボールを動かして押し込み、チャンスを作っていた帝京長岡だが、追いついた安堵感やチャンスを作り続けていることでの緩みもあったか、一気に3点目を奪うことができない。

 谷内田も「勝負を決めに行くところなのか、行かないところなのか、チーム全体としてできていなかったのかなと思います」と反省。日本文理は相手にボールを動かされて足を攣らせる選手が増えてしまっていた。それでもMF屋仲駿(2年)を中心としたカウンターや、セットプレーで一発があることを示し、相手を幾度か押し下げたこと、また189cmのCB岩井優月(3年)やGK小菅瑠樹(3年)ら守備陣が我慢強く守ったことで延長戦に持ち込む。

 延長前半7分、帝京長岡は谷内田のスルーパスで晴山が抜け出し、GKと接触しながらも右足シュートを決めて3-2。延長後半はコーナー付近で各選手が上手さを見せて残り時間を削っていた。だが、岩井や古俣を前線に上げて反撃する日本文理が1チャンスをものにする。後半9分、右ハイサイドへ秋元が抜け出し、サポートした古俣へパス。そして古俣が中央へ繋ぐと、フリーで走り込んだ長崎が右足でゴールを破った。

 大興奮の日本文理イレブン。ラストプレーの谷内田の決定的な一撃をGK小菅が防いでPK戦に持ち込んだ日本文理は、ファインセーブを連発していた小菅がここでも大仕事をしてのける。後攻・帝京長岡の2人目、晴山の右足シュートを右に跳んでストップ。一方で、古俣から秋元、左SB廣井唯翔(3年)、MF中村怜(3年)と決めた日本文理は、5人目の長崎が勝利を懸けた一撃を右足で決めてリベンジを果たした。

 半年前の帝京長岡戦は2-3で終わったが、今回は試合終了1分前のゴールで3-3とした。駒沢監督は「昨年の選手権準決勝は同じ場所、同じ相手に2-3で負けて、約6か月、帝京長岡を倒すためにスタッフ、選手でやってきた。倒さないと全国への扉は開かない」。走力を強化し、練習から当たり前になるまで2度追い、3度追いを意識。この日、相手の嫌なことを徹底し、半年前に届かなかった1点差を埋めて白星を掴んだ選手たちの努力と成長を指揮官は讃えていた。

 リベンジして決勝進出を果たしたが、まだ何かを手にした訳ではない。あと1勝へ、古俣は「明日勝たないと去年失ったものは戻って来ないので、明日も勝って全員で優勝を決めたいと思います」ときっぱり。全員であと1勝とインターハイ出場権を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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