beacon

米子北が境振り切り、鳥取12連覇!順調な立ち上がりから一転、夏本番へ反省材料も

このエントリーをはてなブックマークに追加

鳥取12連覇を達成した米子北高

[6.2 インターハイ鳥取県予選決勝 米子北高 3-1 境高 どらドラパーク米子陸上競技場]

 令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)鳥取県予選決勝が2日に行われ、米子北高境高を3-1で下し、12年連続15回目の出場を決めた。

 選手権は前回大会まで9年連続出場、インターハイは11年連続出場と、県内では無敵状態が続く米子北にとって、両予選の焦点は常に、どれだけ早い時間で先制点を奪い、さらに得点差を広げて勝負を決められるかにある。その点でこの日の決勝は、前半途中までは理想的な展開だった。前半2分(35分ハーフ)、左サイドを突破したFW原田海(3年)が鋭い切り返しで相手DFを振り切ってセンタリングを送ると、中央に飛び込んだMF植田葉月(3年)が合わせ、早くも均衡を破る。その後も素早い攻守の切り替え、素早く最終ラインの背後を突く攻めで境を圧倒すると、15分にはMF崎山友太(2年)のパスを受けた原田が蹴り込み、リードを2点に広げた。

 しかし、中村真吾監督が「こういう戦いをしようというプラン通りに得点を奪って、いいなと思っていた」という2得点以降、何度か決定機を逃すうちに、境が1点を返す。前半30分、米子北の守備への切り替えが一瞬、遅れたスキを突いて左サイドをFW若月優大(3年)が抜け出すと、ドリブル突破から左足を振り抜き、鮮やかに右スミに突き刺した。これで境の応援団は沸き立ち、序盤の2得点で米子北の圧勝ムードが漂っていたスタジアムの雰囲気も、少しずつ変わっていく。

 2-1で折り返した後半、米子北は再びリードを広げようと攻め込んだが、境も懸命に体を張ってゴールを割らせない。後半18分には米子北のゴール近くまでボールを運び、エリア外正面からのMF三澤駿介(3年)のシュートは大きく上に外れたものの、決定機を作り出す。米子北は中村監督が「失点後に前がかりになれず、守備的になってしまった」こともあって、勝利に近づく3点目が、なかなか奪えなかった。

 しかし後半30分、米子北はゴール前の混戦を抜け出したMF林莞太(2年)が蹴り込み、ようやく3点目。そのまま3-1で粘る境を振り切り、12年連続出場を決めた。

 境は、山崎邦夫監督が「2トップ(若月と三澤)で攻め込むことができるので、サポートを待たずに2人で行け、という話をしていた」という攻撃の狙いが当たり、1点を返して勝負の行方を分からなくしたが、結果的に立ち上がりの2失点が勝機を遠ざける形となった。それでも、以前は予選決勝で米子北と戦う常連だったが、2016年度のインターハイ予選を最後に決勝の舞台から遠ざかっていただけに、久しぶりに全国大会を懸けた戦いができたのはプラス材料。現在のチームは昨年11月の新人戦決勝でも米子北に敗れており、山崎監督も「こういう試合を続けなければいけない。また秋にチャレンジしたい」と、選手権予選での雪辱を誓った。

 米子北は順調な立ち上がりから一転、終盤まで相手を振り切れなかったことは反省材料。主将のDF田中秀磨(3年)は「もう少しディフェンスラインを安定させて、攻撃もチャンスを決め切れる力をつけたい」とインターハイに向けた課題を見いだした。中村監督も「自分たちの時間が増えている状況で、ボールを奪われての失点は増えてきている。攻守の切り替え、攻めているときの守備の準備をしっかりやらなければいけない」と語り、夏の本番までのさらなるパワーアップを誓っていた。

(取材・文 石倉利英) 
●【特設】高校総体2019

TOP