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プリンス関西での経験も力に進化続ける三田学園が神戸星城突破。初V、2度目の全国へ王手!:兵庫

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後半30分、三田学園高は2点目を決めた左SB黒瀬太軌(中央)とアシストのFW岩上直生がハイタッチ

[6.7 インターハイ兵庫県予選準決勝 三田学園高 2-0 神戸星城高 アスパ五色メイングラウンド]

 近年、着実に進化を続けてきた三田学園が全国王手――。7日、令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)の兵庫県予選準決勝が行われ、プリンスリーグ関西勢の三田学園高が県新人戦準優勝の神戸星城高に2-0で快勝。三田学園は、9日の決勝で同予選初優勝と4年ぶり2回目の全国大会出場を懸けて芦屋学園高と戦う。

 第1試合がPK戦決着となったこと、また雷雨の影響もあって当初の予定よりも1時間25分遅れてスタートした一戦。入り良く試合を進めたのは三田学園の方だった。5分、左中間でターンしてPAへ強引に切れ込んだFW廣畑晴揮(3年)の左足シュートがクロスバーをヒット。MF森田雄大主将(3年)が「立ち上がりに良い入りができれば、その試合ずっと良いというのはプリンスから分かっていました。立ち上がりの運動量を意識して入ろうというのはできたので良かった」と振り返ったように、三田学園が押し込んだ。

 対して、神戸市リーグ所属ながら新人戦に続いてインターハイ予選でも上位に食い込んできた新鋭・神戸星城は、立ち上がりこそやや中盤が間延びしていたものの、修正。MF島津令至(3年)らがボールを奪うと、相手を見ながら高い技術を発揮するMF福西毅也主将(3年)を中心に攻め返す。

 試合は前半32分にスコアが動いた。三田学園は福原幸明監督が「よく見ている。バランスを取っているし、前への繋ぎ役」と説明するレフティー・MF石野蒼(3年)の素早い展開から、俊足FW岩上直生(3年)が一気に左中間を縦へ切れ込む。そして、PAで倒されてPKを獲得。これをMF森山絢太(3年)が右足で右隅に決めて三田学園が先制した。

 後半、神戸星城はそれまで相手にケアされていた俊足MF山本亮太(3年)のカットインシュートや直接FKでゴールを狙う。その後、三田学園のスピードある攻撃に崩されかけたシーンもあったが、チャレンジ&カバーを徹底。GK上田翔大(2年)の好セーブなど粘り強い守備と、相手にとって明らかに危険な存在になっていた福西の奮闘もあって1点差のままゲーム終盤へと持ち込んだ。

 だが、プリンスリーグ関西の経験で「プリンスは中を崩せない」(福原監督)ことからサイド攻撃を重視してきた三田学園が、練習通りの崩しで2点目を奪う。30分、交代出場のFW東慧(3年)が左サイドから持ち上がり、森山が逆サイドへ展開。右の岩上が1タッチで中央へ折り返すと、中央へ走り込んだ左SB黒瀬太軌(2年)が右足でゴールへ蹴り込んだ。

 三田学園はいずれもスピードのあるFW山田創大(3年)、岩上、廣畑の3トップを中心としたサイド攻撃とCB高川海亜(3年)やGK指川大輝(3年)を軸に今大会無失点の堅守で決勝進出。また、福原監督が「相手を見て、ということとチーム作り」という理由でプリンスリーグから試合ごとに数人入れ替えながら戦っていることが、選手の競争心を煽り、成長と好結果をもたらしている。

 福原監督は「育てることと結果出すこと。年々、(周囲の人から)サッカーが面白くなってきたと言われます。進化している」という三田学園。主将の森田によると、今年の三田学園は「みんなレベル高くて、平均値は高いんですけれども、2個上とか1個上とかにスーパーな人たちが集まっていたので、それに比べたらオレら秀でている人がいない」という世代だが、プリンスリーグで経験を重ねながら個人、チームの力を磨き、選手たちが想像していた以上の躍進を見せている。

 今大会は、まだまだ納得のできる内容の試合はないというが、森田は「(周囲の評価を見返したいという気持ちは)めちゃめちゃありますね。兵庫県1位で全国行くのは初めてやから、まずは2日後に勝ってみんなで歴史を作りたいです」と誓った。森田は累積警告のために出場停止となるが、出番を得た選手たちが結果を残して新たな歴史を作る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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