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8年前ぶりの「凄いリーグ」で残留目指す尚志、アウェーで浦和ユースから勝ち点もぎ取る

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浦和レッズユースFW堀井真海のシュートを尚志高CB中川路功多がブロック

[7.7 高円宮杯プレミアリーグEAST第9節 浦和ユース 1-1 尚志高 浦和駒場]

 8年ぶり参入の尚志がアウェーで浦和ユースから勝ち点もぎ取る――。高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2019EAST第9節2日目が7日に行われ、4位・浦和レッズユース(埼玉)と9位・尚志高(福島)との一戦は1-1で引き分けた。

 試合は浦和ユースが電光石火とも言える先制点を奪う。前半2分、右CKのクリアボールをMF奥山圭介(2年)がPAへ入れると、FW與那覇航和(3年)が左足ダイレクトで決めて先制点。その後も、5月の池田伸康監督が就任からプレミアリーグで1分1敗、3試合目で初勝利を狙う浦和ユースがボールを握って攻めた。

 切り替え速くボールを動かす浦和ユースはMF玉城大志主将(3年)やCB福島竜弥(2年)の左足キックを交えてサイドを変え、そこからの仕掛けで相手にプレッシャーをかける。20分にはゴール前で異質の存在感を放つU-20日本代表GK鈴木彩艶(2年)のキャッチ、スローから高速カウンター。ラストパスのタッチが流れて2点目とはならなかったが、速攻も決定機に結びつけた。

 浦和ユースのGK鈴木は池田監督就任後のチームについて、「練習の中の雰囲気が非常に大事だと言われていて、(池田)監督からも非常に声を出してくれているし、自分たちからもやろうとしているので続けていきたいです。本当は自分たちからやらないといけないんですけれども、まだまだ。監督が非常に良い雰囲気を出してくれるので自分たちももっとやろうとしています」とコメント。この日、スタンドの小さなサポーターの声の後押しも受けた浦和ユースは先制後も雰囲気良く、勢いのある攻守で2点目を目指した。

 一方、尚志は相手にボールを動かされる展開となったが、奪いどころを定めてブロックに入ってきた相手に連続してプレッシャーをかける。仲村浩二監督は「去年のチームはテクニックで圧倒できる部分があったけれど、今年は全員で頑張らないといけない」。8年ぶりのプレミアリーグ参戦の尚志は守勢の展開になる試合が多くなっているが、戦いながら成長。この試合では先制こそされたものの、アタッキングゾーンまで持ち込まれても成長株のCB瀬齊駿登(2年)やボランチに入った渡邉光陽(2年)、CB中川路功多(3年)が弾き返し、幾度か高い位置で相手ボールを引っ掛けてカウンターに持ち込んでいた。

 前半10分には今月2日に鹿島加入内定が発表されたU-18日本代表FW染野唯月(3年)がMF 松本岳士(3年)の右クロスから1タッチシュート。28分にも左クロスのクリアボールをファーサイドで拾った染野がDFをかわしてラストパスを入れる。そして33分、染野が自ら獲得したPKを右足で決めて同点に追いついた。

 後半、浦和ユースが攻撃の圧力を増す。立ち上がりからゴール前のシーンを増やすと、15分にはクロス後のこぼれ球を與那覇が右足で狙う。シュートはゴール方向に向かったが、カバーに入った尚志CB瀬齊がかき出して勝ち越し点とはならない。
 
 尚志も俊足MF郡司克翔(3年)投入に伴い、右から左サイドへ移った松本の突破や、サイドへ流れてチャンスメークする染野から決定的なラストパスが入る。そして、26分には染野を起点にMF福田隼也(3年)、右SB坂従颯蒔(3年)と繋いで右サイドを攻略。決定機を作り出した。

 浦和ユースはいずれも交代出場のFW木下翼(2年)やMF佐藤優斗(2年)、FW高橋悠(1年)がスピードを活かして尚志のDFラインを突破。あわやのシーンを連発する。だが、PAでDFに囲まれながらも中央へ潜り込んだ木下の右足シュートがポストを叩いたほか、尚志の粘り強い守りの前に1点を奪うことができない。

 尚志は累積警告のためにキーマンのFW山内大空(3年)が出場停止だったものの、8年前にはアウェーで0-5の完敗だった難敵相手に引き分け、勝ち点1を獲得した。8年前、最下位に終わったプレミアリーグEASTでは開幕から9試合目でようやく初勝利を記録したが、今年は柏U-18、大宮ユースに勝利するなど2勝2分5敗の9位で前期終了。仲村監督は「為す術なしって感じだったので、8年前は。だけど、(今年は)ウチのストロングを何となく出せるようになっている」と分析する。

 昨年度は選手権4強。現状から一段階上へステップアップするためには、「凄いリーグ」(仲村監督)であるプレミアリーグに残り続けてチーム、個を強化し続けなければならない。「色々な人の成長をうかがえて、そこに切磋琢磨が出てきて、やっていければいいかなと思います」と仲村監督。この日対戦した浦和ユースなど“格上”のチームとの差を少しずつ縮めていって、残留を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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