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ブラサカ日本選手権で初の3位。ハットトリックの行廣が明かす「4位の壁を越えられた理由」

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行廣はゴール後、Cロナウドのゴールパフォーマンスを3度見せた(写真:松本力)

[7.7 アクサブレイブカップ3位決定戦 兵庫サムライスターズ 3-2 buen cambio yokohama]
 
 ブラインドサッカーのクラブ日本一を決める「アクサブレイブカップ」の3位決定戦は、兵庫サムライスターズが行廣雄太のハットトリックで初の3位に食い込んだ。前半18分に行廣のゴールで先制するが、その後、相手の元日本代表主将の落合啓士に立て続けに2点奪われ、逆転される苦しい展開。そこから後半15分、18分と再び行廣が決めた。

 1点リードのまま迎えた残り10秒、ゴール前やや右サイドで相手FKのピンチを迎える。ボールを奪って一度はピンチを脱したが、時計が動いていなかったことを理由にやり直しになるハプニング。相手のシュートをブロックするための壁を作りながら行廣は叫んだ。

「息の根を止めるな!」

 肩で息をするようなギリギリの体力の中、ボールへの執念を仲間に求めた。最後は行廣が2点奪われた落合にプレッシャーをかけ、ボールを奪って勝利を決定づけた。

「チームとしての達成感を感じます。いつもだったら逆転されてそのまま負けてしまうんですが、今日は目隠しをした状態でも心がつながっていました。1人1人が自分の役割を果たせばチームが勝てる、と信じていました」

 在籍している選手の構成を見ると、ガイドで登録されているスタッフがいずれも外国人だったり、年齢も性別も多岐にわたる。したがって練習以外でも、「和」を大切にして、バーベキューや食事など同じ時間を過ごし、そうした時の積み重ねが土壇場で結束につながった。

背番号11が行廣(写真:松本力)

 行廣は小学校2年生から両眼で1点を見つめると、その部分が欠けてしまう病気にかかったが、今でもわずかに視力が残る。尊敬するサッカー選手、クリスティアーノ・ロナウドのダイナミックなプレーを夢中で追った。この日のゴール後に3度見せたロナウドのゴールパフォーマンスは、横殴りの雨の中でも映えた。行廣が続ける。

「(ゴールパフォーマンスの時は)周りからの歓声の雨が自分に振ってくるイメージで我を忘れています。来年は決勝進出、優勝を目指して頑張りたい」

 この大会が初のベスト4進出だった兵庫サムライスターズはこれまで5位の壁を破れずに苦労したが、初の3位決定戦を制し、銅メダルを獲得。結束力で壁を越えた兵庫サムライスターズは来年以降も躍進を目指す。

(取材・文 林健太郎)

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