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J注目蓮川雄大に武田太一…早稲田大でFW離脱が相次ぐ「辞めるにしても続けるにしても」

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表彰式を見守る蓮川雄大(左)と武田太一

[7.12 第70早慶サッカー定期戦 早稲田大1-0慶應義塾大 等々力]

「思いを背負わないといけないと思っている」。12日に行われた早慶サッカー定期戦で、後半アディショナルタイムに決勝点を決めてMVPに選ばれたFW加藤拓己(2年=山梨学院高)は、この日背負った背番号10のユニフォームの上に11番のユニフォームを重ね着して表彰式に参加した。そしてその様子を松葉杖をついた先輩2人が見守っていた。

背番号11のユニフォームを着て表彰式にでる加藤拓己

 一人はFW蓮川雄大(4年=FC東京U-18)。大学入学後、度重なる怪我に悩まされてきた彼は、留年して覚悟の5年目を迎えていた。そして今季は大学入学後初めて、開幕から試合出場を続けたが、すでに右膝は悲鳴を上げていた。6月末に病院に行くと、医師からは靭帯が切れていると告げられた。前期リーグは8試合中7試合に出場していたが、靭帯が断裂した状態でプレーを続けていたのだという。今夏には複数のJクラブへの練習参加も予定されていたが、すぐさま手術が実施された。

 もう一人はFW武田太一(4年=G大阪ユース)。今年3月のデンソーチャレンジカップでは、全日本大学選抜に選ばれるなど、大学屈指のFWの一人だった。昨年は古巣であるG大阪の練習参加を経験するなど、卒業後の進路も含めて注目されていた。しかし今年5月に悪夢が襲う。練習試合で左膝を痛めてしまう。診断は前十字靭帯断裂。これまでの人生で初めての大怪我。手術を行い、全治8か月の診断を受けた。

 将来を左右する大事な時期の大怪我。武田は「気持ち的にきつかった」とさすがに落ち込んだというが、今は「もしこれでサッカーを辞めて就職を目指すにしても、サッカーを続けるにしても、まずは怪我を治してからだと思っています」とまずは治療だけに専念したいと話す。本来であれば一緒に戦っていたかもしれない仲間、ユニバーシアード日本代表が決勝に進出したことも心の支えになっているといい、「決勝も頑張ってもらいたい」とエールを送る。

「怪我は仕方がない。治ったあとのことを考えて、今自分が出来ることを考えたい。チームメイトやユニバーの選手が必死に頑張っている姿を見て、自分も頑張らないとなという思いにさせてくれている。もしこれでサッカーを辞めて就職を目指すにしても、サッカーを続けるにしても、まずは怪我を治してからだと思っています」

 この日、2人は入院する同じ病院から駆け付けていた。加藤はこの日午前に病院にお見舞いに行って、2人に早慶戦での活躍を誓っていたという。「お前がMVPを獲ったら嬉しいと言ってくれた。そういう思いもあって、2人の分も背負っていた。本当は9番と11番の両方(のユニフォーム)を着たかったけど、9番は4年生に託して11番は自分がという感じで着ました」。

 さらに早大はFW梁賢柱(3年=東京朝鮮高)も練習試合で左膝靭帯を損傷して離脱中。梁の手術は回避されたようだが、前期登録メンバーの9番(武田)、10番(梁)、11番(蓮川)の攻撃の核である3人が離脱するという非常事態となっている。8試合を終えた前期リーグ戦で9位と出遅れた早大にとっては試練が続くが、ピンチをチャンスに変えるチーム力が試されることになる。

 しかし外池大亮監督はリーグ戦中断前の連勝や、早慶戦の勝利など、勝負強くなった部員たちへの手ごたえとともに、「思いを共有できる集団になってきた」とチームの団結力の強化を感じているという。武田も「チームのために出来ることは何でもやろうと思っています」と全面サポートを約束。昨季王者の巻き返しに向けた力は、団結が生み出す。

応援席には「不屈の男」という横断幕が掲げられていた

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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