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山口の公立校、西京が快進撃!米子北との中国勢対決制して初の準々決勝進出!

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山口の公立校、西京高が初のベスト8進出!(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.28 総体3回戦 西京高 2-0 米子北高 吉の浦公園ごさまる陸上競技場]
 
 西京が初の全国8強入り! 令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」男子サッカー競技(沖縄)は28日、3回戦を行った。西京高(山口)と米子北高(鳥取)との中国勢対決は、2-0で西京が勝利。西京は準々決勝で桐光学園高(神奈川)と戦う。

 山口県の公立校、西京が快進撃を見せている。雨中の初戦で四国学院大香川西高(香川)を3-1で退けると、2回戦では前回大会8強の日章学園高(宮崎)にPK戦の末、勝利。そして、この日は、同じ中国地区の強豪・米子北相手に我慢強く戦い抜いて白星を勝ち取った。山口県内で唯一の体育コースがあるとは言え、地方の公立校が活躍。全国大会で旋風を巻き起こしている。

 西京の田邊宏司監督は「学校として初めて(ベスト16から)前に進めた。高校生は凄いですね。成長するから」。指揮官の取材中に、野球部が夏の甲子園予選で22年ぶりに決勝へ進んだことが分かると、選手たちは大歓声。満面の笑みで喜び合う姿に田邊監督も微笑んでいたが、試合中に彼らが見せた別の顔、勝利への執念、タフさも非常に印象的だった。

 対戦した米子北はU-18日本代表CB高橋祐翔(3年)、エースFW植田葉月(3年)が不在。だが、10年前に全国決勝まで勝ち進んでいる強豪は立ち上がりから前線へのボールを増やしてプレッシャーをかけてきていた。

 11分にはMF原田海(3年)が縦への仕掛けからラストパス。ゴール前の混戦からMF後藤佑也(3年)が右足シュートを狙ったが、西京GK恒富優貴人(3年)が足でセーブする。

 我慢の時間を凌いだ西京は15分、1チャンスを活かす。中盤でのセカンドボールをMF石澤海人主将(3年)が拾って左サイドへ展開。2年生の俊足アタッカー・MF前田唯翔が右前方に空いたスペースを狙ってドリブルで仕掛けると、対応の遅れたDFからファウルを受ける形でPKを獲得した。

 西京は自らキッカーを務めた前田が右足で決めて先制点。チームのファーストシュートで得点を奪った。対する米子北はロングボール、クロスを軸に反撃。だが、西京はシンプルに跳ね返すと、スペースへ抜け出すFW水津彰太(3年)や前田を活用してカウンターを狙う。

 後半立ち上がりは米子北がチャンスを連発。原田やFW崎山友太(2年)の仕掛けから後藤が決定機を迎える。だが、追いつくことのできない米子北はGKを岡好誠(3年)に代え、またCB岡田大和(3年)を本来の左SBに移動させることで後方から攻撃のリズムを変えようとする。

 直後に崎山が決定機を迎えるシーンもあったが、米子北は全体的に攻撃のパワーを欠いた。終盤になっても足を攣らさずに跳躍を続ける西京のCB原田廉(3年)やCB山下葵(2年)にハイボールを跳ね返され、サイドの攻防でも人数をかけて守る相手をなかなか突破することができない。また、セカンドボールは縦横無尽に走り続けていた西京MF石澤やMF西谷嵩冴(3年)に拾われてしまう。各選手が身体を張り、出足も速い西京は隙を見せない。

 米子北は攻めきれずに押し戻されるシーンの繰り返し。そしてアディショナルタイム、次の1点を西京が奪う。カウンターから初出場の横山凌大(3年)が抜け出し、勝利を決定づけるゴール。シュート数こそ少なかったが、田邊監督から「1-0で逃げに入らないでもう1点獲ろう」と言われ続けていた西京が2点目を奪い取って試合を終えた。

 歓喜の8強。前日の日章学園戦はあくまでPK戦の勝利だった。そのため、指揮官は「先制して追いつかれてももう1点獲ろう」「先制されたら引っくり返そう」と選手たちに求めていた。2点目を獲りきって勝ったことが彼らの成長の証。田邊監督はそれをやり遂げた選手たちに目を細めていた。

 今年は県新人戦準決勝で敗れ、県1部リーグでもすでに4敗。シーズン当初は山口県内でも結果を残すことができなかった。特別な個がいる訳でもない。それでもOBたちから「オマエら、その力じゃ(インターハイ予選も)負けるぞ」と指摘された選手たちは「上に行くために西京サッカー部の中で意識を高めていかないと、県予選とかで負けてしまう。雰囲気を良くしていったと思います」(恒富)

 また、石澤は「チームで一つになって戦うことができるようになった」と語り、集中力と勝利への欲求の強さを快進撃の要因に挙げる。一丸となって強豪を破り、8強進出を果たした西京にとって、ここからは未知の世界。それでも恒富は「とても楽しみです」と語り、石澤は「僕たちは何も失うものがないので、チャレンジャー精神をもって1試合1試合戦っていきたい」と言い切った。歓喜のベスト8だが、さらに先へ。勝利を貪欲に狙う公立校が、次は前回準優勝の桐光学園に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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