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「歴史を変えよう」。堅守・徳島市立攻略の富山一、5度目の準々決勝挑戦で初の4強入り!

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後半14分、FW鈴木崚加(左)のゴールを喜ぶ富山一高イレブン

[7.30 総体準々決勝 徳島市立高 1-3 富山一高 金武町フットボールセンター]
 
 富山一が5度目の準々決勝挑戦で初の4強入り――。令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」男子サッカー競技(沖縄)は30日、準々決勝を行った。徳島市立高(徳島)と富山一高(富山)との一戦は、3-1で富山一が勝利。富山一は31日の準決勝で尚志高(福島)と戦う。
 
 今大会、3試合連続で0-0からのPK戦を制している徳島市立と、今大会2試合を無失点で勝ち上がってきた富山一との8強決戦。手堅いゲームになるかと思われた一戦は、前半4分に富山一が早くもスコアを動かす。

 左WB真田滉大(3年)が右サイドからのCKを左足で蹴り込むと、ボールは直接ファーサイドのゴール方向へ。徳島市立GK中川真(3年)が何とか触ったが、落下地点にいたDF丸山以祐(3年)が頭で押し込み、徳島市立の連続無失点を早くも止めた。

 試合は富山一のペースで進んだ。前線で馬力のある動きを繰り返すFW鈴木崚加(3年)と空中戦で競り勝っていたFW碓井聖生(3年)が相手DF陣を押し込む。また、左サイドから真田や丸山が斜めのボールを前線に通していたほか、右サイドでキープ力を発揮するMF小森登生(3年)らが絡む形でアタックするシーンを作り出す。

 一方、徳島市立は相手のファーストディフェンスの寄せの速さに苦しんでボールを失い、攻撃の回数を増やすことができない。ただし、それを剥がした際にはチャンスも。23分には右サイドでDFの前に強引に潜り込んだ俊足FW木村広也(3年)がクロスを上げ、26分にはMF川人太陽(3年)の左ロングスローがゴール前を抜けてDF土田桜介(3年)が押し込もうとする。

 だが、DF牧野奏太(3年)を中心とした5バックで守りを固める富山一相手になかなか攻め切ることができない。右WB中園享成(3年)やMF広瀬翔一朗(3年)らが出足の良い守りを見せ、球際の攻防でも優位に立つ富山一に対し、徳島市立は相手ボールを奪う部分で苦戦してしまう。主導権を渡さずに試合を進めた富山一はアディショナルタイム突入後の40分、速攻から右CKを獲得すると、真田の左足CKをDF吉藤廉(3年)がニアで合わせて2-0とした。

 富山一は昨年の準々決勝前日にややスイッチを切ってしまい、桐光学園高(神奈川)に0-5で大敗。その反省もあり、中日に入念な準備をしてきたという。大塚一朗監督とともに富山一を指揮する加納靖典コーチは「セットプレーを昨日、重点的にやろうと。あと、それまでのゲームで攻撃の崩しのところも上手く行っていなかったので時間かけてやって、それが上手く出ていたと思います」と分析する。セットプレー練習に多くの時間を費やしてこの日を迎えていた富山一は、CKから2得点。左サイドからのFKで変化を加え、MF高木俊希主将(3年)が強烈な右足ミドルを打ち込むシーンもあった。

 準備をしっかり形とした富山一は、後半13分にも追加点を奪う。丸山が左サイド後方からロビング気味のクロスを上げる。最前線の鈴木がいち早く落下点のポジションを取ると、対応の遅れたGKと交錯する形でPKを獲得。これを鈴木が自ら右足で決めて3-0とした。

 徳島市立は後半のクーリングブレイクで選手たちが自発的に声を上げるなど諦めずに今大会初ゴールを目指す。そして、川人を前線に移して反撃。すると32分、右サイドでいずれも交代出場のFW前川泰聖(2年)からMF中田舜貴(2年)へ繋ぎ、中田の低いクロスをMF大野龍功(2年)が1タッチで合わせて1点を奪い返す。

 終盤にかけて攻撃の迫力が増した徳島市立は、さらに土田を前線に上げて追撃しようとしたが、富山一GK中村純四郎(3年)を脅かすまでには至らない。逆に、終盤も真田の左足CKからチャンスを作り続けた富山一が押し切って3-1で勝利。富山一の高木は「みんな『歴史を変えよう』とずっと言ってきた。素直に歴史を変えられたのは嬉しいです」と笑顔を見せた。

 富山一は94、00、13、18年度と準々決勝敗退。その先輩たちの涙、経験から学んだことをこの試合に活かした。加納コーチは「先輩たちが残してくれた経験を、今年は本当に活かしてくれた。3回戦が終わった時に、子どもたちから『気持ち切ったら負けるぞ』とか声が出ていました。(この日、リードして迎えた後半の給水タイム時にも) 『まだ終わってねーぞ』とか、子どもたちが勝負に対してこだわりを持ってやってくれているのは先輩たちが残してくれた財産。そういうところに感謝したいですね」と微笑む。

 今年は3年生だけで臨んだ北信越大会で優勝。「みんながチームのためにやってくれるし、誰が出ても活躍してくれるというのは凄くありがたい」(加納コーチ)という世代だ。手堅い守備に加え、多彩なセットプレーなど攻撃面で色々なことができる強みがある。そして、本気で全国タイトルを獲るためにまとまり、声も出る好チーム。この日は終盤に隙を見せて1失点してしまったが、崩れなかった。

 高木は未知の戦いとなる準決勝へ向けて、「ここからがスタートライン。チャレンジャー精神で負けないという気持ちを全面に出して、準決勝勝って決勝に行けるようにしたい」。13年度選手権で北信越勢初の日本一を成し遂げたのが、富山一。準決勝を突破して、北信越勢初となるインターハイ優勝に王手をかける。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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