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大阪体育大MF田中駿汰、札幌入団の決め手は「ミシャの人間性」

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大阪体育大のMF田中駿汰

[9.5 総理大臣杯準決勝 大阪体育大0-1法政大 ヤンマーフィールド長居]

 2年連続の決勝進出とはならなかった。大阪体育大(関西4)は関東勢3連破を狙った準決勝で、天皇杯で快進撃をみせて注目を集める法政大(関東5)に0-1で敗戦。しかしMF田中駿汰(4年=履正社高/札幌内定)は「思ってたよりも差は感じなかった」と振り返ると、「テーマとして強化してきた守備の部分が通用した。そこはポジティブに捉えたい」と前向きに話した。

 6月にフランスで行われたトゥーロン国際大会で、U-22日本代表に初選出。代表発表時に森保一監督は「日本になかなかいない」と高評価していたが、「左利き」という誤った説明もあった。これについては本人もツイッターで否定していたが、「話題になったので良かったですね」と笑う。

「選ばれるまでは東京オリンピックは意識していなかったけど、候補に入っているんだなと意識するようになった。チャンスを生かすも殺すも自分次第。でも今まで以上のことをしないと選ばれないとも思っています」

 今年5月に北海道コンサドーレ札幌への入団内定が発表になった。札幌の他にもセレッソ大阪などJ1複数クラブが獲得に興味を示していたが、サッカースタイルなどを考慮して、北の大地に渡ることを決めた。中でも決め手となったのは、ペトロヴィッチ監督の存在だという。

「決め手はミシャの人間性というか、元太さん(大体大・松尾元太監督)からも凄い人だと聞いていた。そういう人の下でプロキャリアをスタートさせるのはなかなか出来ることではないと思うので決めました」

 8月上旬から約3週間の日程で、札幌の練習にも参加。田中自身はボランチでのプレーを希望しているが、練習では主に3バックの右に入ることが多かったという。ただそのことによりプロの世界で生きていくためには、「求められたらやれる。出られるのであれば、どこでもいい」という自身の特長であるポリバレント性を最大限に活かすことが、最も重要なことになると再確認することができた。

 大体大のエースであるFW林大地(4年=履正社高/鳥栖内定)は、チームメイトになって今年で10年目。G大阪ジュニアユース時代は、MF市丸瑞希(岐阜)、FW高木彰人(山形)、DF初瀬亮(福岡)らとともに史上初のジュニアユース3冠を達成。ただユースに昇格できなかったことで、履正社高に進学。MF牧野寛太、DF安田拡斗(いずれも関大)、MF川畑隼人(近畿大)、そして林、田中の5選手が同じ道を進んだが、大学までとなると林と2人だけになった。

 その林は今夏、サガン鳥栖の特別指定選手としてJ1リーグでデビュー。8月11日にヤンマースタジアム長居で行ったC大阪戦では、後半43分にCKを頭で合わせて逆転劇の口火となる衝撃弾を決めた。林の鮮烈デビューを「先を越された」と羨むが、「自分も早く出て、結果を出していきたい」と大きな刺激にしている。

 ただ残り半年となった大学サッカーを全うしたいという考えも強くある。大体大はDF菊池流帆(山口)やMF末吉塁(山形)、MF浅野雄也(水戸)といった実力者が卒業した今季は、戦力ダウンが懸念されていた。田中自身も心配はあったというが、それでも選手一人ひとりが「一人分以上の動き」を意識することで、結果が残せていると胸を張る。

 昨季の関西リーグ王者でもある大体大は、前期を首位で折り返した。ただ2位のびわこ成蹊スポーツ大とは勝ち点差3。インカレで関東勢と再び相まみえるためにも、もう一段階の成長が求められる。「去年は逆転勝ちがなかったんですけど、今年はもう2回ある」とチーム力に手ごたえを語る田中は、「3回生も成長している選手が多い。大地も大事なところで点を決めてくれる。またみんなで冬に向けて頑張りたい」と意欲的に話していた。

(取材・文 児玉幸洋)
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