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全治9か月の大怪我乗り越えて躍動する広島県FW棚田、兄超えまであと1勝

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広島県のFW棚田遼(広島ユース)は決勝進出に大きく貢献。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.2 国体少年男子準決勝 広島県 2-0 香川県 新浜緑地多目的球技場]

 大怪我から復活したアタッカーが広島県を牽引している。3-6-1システムのシャドーの位置に入っているMF棚田遼(広島ユース、1年)は昨年12月、左膝に全治9か月の重傷を負った。2か月間入院し、今年2月頃から少しずつリハビリ。そして今夏にようやく練習に加わるようになった棚田は9月2日に実戦復帰を果たし、「目標」の国体メンバーに滑り込んだ。

「ここに合わせてリハビリとか頑張ってきた」棚田は今大会の国体で4試合連続ゴール。2回戦では後半アディショナルタイムに劇的な同点ゴールを決め、前日の準々決勝では2得点1アシストの活躍を見せた。

 そして、この日も序盤から香川県の高いDFラインの背後へ抜け出す動きを連発。16分には右サイドから決定機を演出し、前半29分にPKを蹴るチャンスが巡ってきた。だが、GK松原快晟(讃岐U-15)の動きを深読みしすぎたというPKは止められ、直後の決定機も再び松原に止められてしまう。それでも、この日はチームメートたちが挽回。棚田のシュートで得たCKから先制点を奪い、後半にも1点を加えて2-0で勝った。

 棚田はリハビリの期間について、「走りの期間が凄く長くてメンタル的にも凄い辛かった」と振り返る。それでも、目標とする舞台に立ち、攻撃力やハードワークする力を発揮。4得点については「守備が頑張ってくれて最後自分に繋げてくれるのがあるので、みんなのお陰」と謙遜していたが、その動きの量や技術力がチャンスを生み出していることも確かだ。

 2歳上の兄、FW棚田颯(広島ユース、3年)は2年前の国体で準優勝。棚田は兄が当時記録した1得点を上回る得点数を叩き出している。「兄は準優勝していて、自分は絶対にその結果を抜かしたかったし、兄の得点を抜かしたかった。(決勝は)自分がFWを引っ張っていって自分の点で勝てるようにしたい」と棚田。長期離脱から復活を遂げた背番号7は、決勝で再びゴールを決めて、チームの結果でも兄を超える。

(取材・文 吉田太郎)
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