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夏に続く全国初出場、そして全国で勝つチームへ!選手層向上の大成が好守で健闘の石神井に逆転勝ち!

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後半15分、大成高MF内田康平が右足で勝ち越しゴール

[10.19 選手権東京都Bブロック予選2回戦 石神井高 1-3 大成高 駒沢2]

 全国で勝つチーム目指し、強化してきた大成が逆転勝ち! 19日、第98回全国高校サッカー選手権東京都Bブロック予選2回戦が行われ、インターハイ出場校の大成高が石神井高に3-1で逆転勝ちした。

 今夏、初のインターハイ出場を果たした大成が、選手権初出場、全国での活躍へ向けてスタートを切った。ただし、その初戦は想定していた通りの苦戦に。前半は石神井が前線へ入れてくるボールを東京屈指のエアバトラー・CB佐藤イライジャ(3年)とDFの要・CB金井渉(3年)を中心に跳ね返していたものの、セカンドボールを拾われて攻められるシーンが増えてしまう。

 そして前半28分、石神井は右サイドのスペースへ抜け出したMF岡澤樂(3年)がクロス。大成はゴール前で佐藤が競り勝ったものの、PAにこぼれたボールをMF岩浪涼祐(3年)に右足ダイレクトで叩き込まれた。

 岩浪のファインゴールで先制した石神井はスタンドを含めて大盛り上がり。都立の実力派は、小柄ながらも非常に安定感の高いGK大西真龍(1年)やいずれも大声でチームを集中させていた牧野直人(3年)、大橋翼(3年)の両CBを中心に相手のセットプレーに対応するなどリードしたまま前半を折り返した。

 だが、大成は後半、俊足FW平川優大(3年)、突破力秀でたMF片原崇也(2年)、1年生ながら10番を背負うFW原輝斗を相次いで投入。豊島裕介監督が「実は(状態が)良かった。(彼らを)信じて、流れを変えてくれました」という3人が攻撃を活性化して試合をひっくり返した。

 まずは後半8分、MF宮脇茂夫(3年)の右FKをファーサイドの佐藤が折り返すと、最後はゴール前のこぼれに走り込んだMF阪口駿(3年)が右足を一閃。これがDFに当たってコースが変わり、ゴールネットを揺らす。

「ゴール前だったので振り抜くことを意識した。泥臭くどんな形でも良いので点を獲れたことは良かった」という阪口の同点弾。15分にはともに交代出場の片原と平川が勝ち越しゴールを演出する。左サイドで一気に加速した片原がDFを振り切り、エンドライン際からゴール前にボールを折り返す。これをニアの平川がPA外側のMF内田康平(3年)へ落とすと、内田が巧みなファーストタッチから右足シュートをゴールに突き刺した。

 石神井も後半25分にビッグチャンスを迎える。交代出場のFW渡辺真人(3年)がDF背後へ完全に抜け出し、GKと1対1に。この日存在感あるプレーを見せていた大成GKバーンズ・アントン(1年)が距離を詰めたが、渡辺のスピードが上回る。両選手が交錯し、PKかと思われたが、ファウルした場所はPA外側との判定でFKに。石神井はこのチャンスを活かせない。

 逆に大成は直後に速攻から片原が左クロス。これはファーサイドへ流れたが、阪口が切り返しでPKを獲得する。これを阪口が右足で決めて3-1となった。石神井はこの後、GK大西がファインセーブを連発し、セットプレーから交代出場MF田中楓馬(3年)がシュートを連発するなどで反撃したが、2点目を奪うことができなかった。

 大成の内田は「前半は相手に飲まれるところがあってあまり良い形じゃない先制点を決められて、自分たちのサッカーが全然できていなかった。ハーフタイムに自分たちのサッカーをしようと話し合って、そうしたら入ってきた選手も結構躍動してくれて、そこで流れが変わったかなと思います」と勝因を口にしていた。

 大成は上位進出を目指したインターハイで力を十分に出し切れないまま初戦敗退。だが彼らは何も得ずに帰京した訳ではない。豊島監督は「全国大会に出ることが目標だったのが、全国出て勝つチームに変わりたい、と意識が変わった。これが大きな財産だった」と説明。初めて全国への扉を破ったチームは、全国で勝つチームになることを目指してこの夏取り組んできた。

 メンバーを固定せず、選手層の向上に注力。この日交代出場した3人が試合の流れを変えたように、競争を経て多くのポジションで選択肢を増やすことに成功している。昨年度の選手権予選から今年の関東予選、インターハイ予選と続けて代表決定戦を経験し続けていることも力。そして、「(全国の)あの経験をゼロにしたくない」(内田)という悔しさもパワーに変えている大成が、選手権でも激戦区・東京を勝ち抜いて全国初出場を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校選手権2019

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