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昨年度全国ベスト4・瀬戸内が“鬼門突破”!難敵・如水館を下して連続出場へ前進:広島

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決勝点を挙げた瀬戸内FW中川歩夢(3年)

[10.27 選手権予選準々決勝 瀬戸内1-0如水館 庄原]

 第98回全国高校サッカー選手権広島県予選準々決勝が27日に行われ、2年連続出場を目指す瀬戸内高如水館高を1-0で下した。瀬戸内は11月3日の準決勝で広島観音高と対戦する。

 昨年度、かつてMF安部裕葵(現バルセロナB=スペイン)を擁しても果たせなかった選手権初出場を決めた上に、全国でもベスト4まで勝ち上がって3位となった瀬戸内。だが新チームはここまで、準々決勝が『鬼門』となっていた。

 1月の新人戦は広島翔洋高に0-1で、6月のインターハイ予選は沼田高に0-2で、ともに準々決勝敗退。この日の準々決勝は前日の決勝トーナメント1回戦に続く連戦、さらに相手がインターハイ予選準優勝の難敵・如水館ということもあり、田中健二郎監督も選手たちに「今日がヤマ」と話していたという。

 瀬戸内は前半14分(40分ハーフ)にCKからMF石橋颯(2年)がヘッドで狙ったが、クロスバーに当たって決まらず。その後も何度かチャンスがあったものの、0-0で前半を終えた。

「前半で決められず、後半は相手のやり方にはまってしまった」と田中監督が振り返った通り、後半は如水館のパワフルな攻めに苦しめられた。だが、試合終盤の後半33分、MF小菅生大智(3年)がエリア内で倒されてPKを獲得。途中出場のFW中川歩夢(3年)が蹴り込み、結局これが決勝点となった。

 瀬戸内は昨年度のインターハイでも全国切符をつかんだが、1回戦で敗退。それを機にチームのスタイルを、それまでのキック&ラッシュから、ていねいにパスをつないで攻め込むポゼッション重視に変更し、発展途上の中で選手権初出場&全国4強入りという結果を残した。選手権の登録メンバー30人中16人が1・2年生で、埼玉スタジアムでの準決勝の先発メンバーにも2年生が6人含まれており、これら経験を積んだ選手を軸に、今年度も力のあるチームになることが予想されていた。

 しかし前述の通り新人戦、インターハイ予選とも決勝すら進めずに敗れ、プリンスリーグ中国でも下位に低迷。田中監督は「ビルドアップする以上、ボールをロストして失点することも覚悟して進めていかなければいけないのですが、失点すると下を向いてしまう。こういうサッカーだからこそ(スタミナの消耗を抑えることができるので)、最後の10分、15分で自分たちの時間帯が来るから、と言っていたのですが、そこまで我慢しきれない」と当時のチーム状況を分析する。

 立ち上がりの失点の多さも課題だったが、徐々にチーム状態は上向き、この日は難敵を下して『鬼門』を突破した。昨年度から主力のMF田辺利樹(3年)は、「先週はずっと如水館の試合映像を見ていました。相手の武器のセットプレーも防ぐことができた」と胸を張る。

 やはり昨年度からの主力で、最終ラインでのボールポゼッションの要となるGK井上大也(3年)は、「去年は先輩たちが、選手権の準決勝という舞台に自分たちを連れていってくれました。今度は自分たちが後輩やチームメイトを連れていきたい」と意気込む。残り2つの関門を突破して連続出場を果たし、チームの進化と真価を見せつけるつもりだ。

(取材・文 石倉利英)
●【特設】高校選手権2019

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