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[MOM3010]新田DF野本空(3年)_最終ラインの司令塔が華麗な右足でFK弾

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新田高DF野本空は直接FKでゴールも

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.27 選手権愛媛県予選準決勝 新田高 2-0 松山北高 西条陸上]

「カバーリングだけでなく、組み立てやロングボールの精度の高さも今日は目立っていた」と小野裕太監督が評する通り、登録はDFながらもチームへの貢献は留まらない。インターハイに続き、選手権でも県の頂点を目指す新田高で、ひと際まばゆい輝きを見せたのがDF野本空(3年)だ。

「予選の中で一番良いゲームができたと思う」。野本がそう振り返るように、接戦続きだったこれまでの2試合とは違い、立ち上がりから野本を中心とした3バックがボール回しで新田がゲームをコントールできていた。

 積極的に持ち味であるサイド攻撃を引き出しながらも、「ショートパスを繋ぎながらも、相手の隙を狙ってロングボールを狙っていこうと考えていた」とDFの背後に配球し、アタッカー陣の飛び出しを促した。前半16分には野本がDF裏に入れたボールにFW福井健太(3年)がフリーで反応。タッチが大きくGKに阻まれたものの会場を沸かせた。活躍はチャンスメークだけに留まらず、本業の守備でも的確な読みを活かしたカバーリングで松山北高に決定機を与えず、無失点で試合を折り返す原動力となった。

 後半からは、前からのプレスを強めた松山北の守備をかわし、DF山田俊介(2年)が高い位置でボール回しに関与する機会が増えた。野本は後方でカウンターをケアしながらも、チャンスでは攻撃に関与。後半8分には左CKをゴール前に入れると、相手DFが競ったボールのこぼれを山田が頭で押し込んだ。

 後半33分には福井が相手エリアの左外で倒されてFKを獲得すると、野本がキッカーに名乗りを挙げた。落ち着いてゴール右隅を直接狙ったキックは、ポストに当たりながらもゴールネットに吸い込まれ、2点差に。2回戦の新居浜工高戦ではFKを決められなかったため、野本は「今日こそはと思っていたので、得意なコースを狙った。一瞬外れたかなと思ったけど、決まって良かった」と胸を撫で下ろした。

 攻撃の起点となるロングフィードだけでなく、セットプレーでも活かされる正確な右足を見ていると、最終ラインの司令塔という表現がよく似合う。それもそのはずで、中学まではボランチとしてプレーしており、CBを務めるのは昨年から。「ボランチがしたくて新田に入ったので、なんでボランチじゃないのかなという気持ちはあった。けど、徐々に切り替えてCBで頑張ろうと思えるようになった」。ボランチと比べて相手の守備が届きにくいため、キックを存分に活かすには好都合。沖縄でのインターハイ以降、チーム全体でビルドアップに注力しているのも活躍を後押ししている。

 決勝で対戦するのは、インターハイ予選決勝の再戦となる今治東中等教育学校。自力の差があったこれまでの試合とは違い、簡単には勝たせてくれない相手だ。野本自身も難しい試合になるのは理解しており、「総体で優勝しているので、相手は僕らを潰しに来る。勢いは僕らよりもあると思うので、絶対に優勝してやるという強い気持ちを持って、選手権でも僕らのサッカーを貫き通して優勝したい」と意気込みを口にした。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校選手権2019

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