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「ガブガブ噛みついてくれた」大抜擢に応えたU-17“闘犬”田中聡、完勝支えたボール奪取

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湘南仕込みのボール奪取で完勝を支えたMF田中聡(湘南U-18)

[10.27 U-17W杯GL第1節 日本3-0オランダ]

「闘犬・聡です」

 森山佳郎監督は破顔一笑、そう言って大抜擢に応えての大活躍を見せたMF田中聡(湘南U-18)を報道陣に紹介した。欧州王者オランダは「本当に強烈な破壊力がある」(森山監督)チームだっただけに、ペナルティーエリア付近にかかる手前で潰す必要がある。そのための田中抜擢だった。

 密かに白羽の矢を立てられた田中だったが、今年に入って初招集を受けたという流れもあり、「自分はベンチだと思っていた」と振り返る。それだけに、試合の3日前に先発を告げられた際は「ビックリした」と言うが、同時に「選ばれなかった選手たちの分まで自分がやらないといけないと思った」と気持ちを引き締め直した。

「自分がこのチームで一番ヘタクソだと思っている」と言う田中が誇る武器は「球際の守備と運動量」。ボールを持った相手を追い回しつつ、機を見て激しく“噛みつく”プレーが彼の真骨頂だ。オランダを相手にしても怯むことなく「湘南で教わってきたこと」である素早く連続的なアプローチから、「ガブガブ噛みついてくれた」(森山監督)。DF半田陸(山形ユース)が「後半、(田中)聡が何度も奪ってくれて助かった」と率直に語ったように、勝負どころでのボール奪取で輝いた。

 大きなポイントとなった2点目のカウンターアタックも、その起点は田中のボール奪取。テクニシャン揃いの代表チームにあって異色のスタイルだが、技巧派のMF藤田譲瑠チマ(東京Vユース)とのコンビも噛み合い、オランダの攻撃を遮断し続けた。

 森山監督は「選手たちはボロボロになるまで走り切ってくれた」と評したが、田中は間違いなくその一人。今年に入って初招集を受け、大事な初戦で抜擢された「闘犬・聡」が、強く、激しく、逞しく、日本の完勝を縁の下から支えきった。

(取材・文 川端暁彦)
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